POW JAPAN、北海道へ

POW JAPAN、北海道へ Goro Komatsu 怒涛の一週間が終わり、気付けば再び北海道の南端新函館北斗に向かって電車に揺られています。 2021年8月、今回の北海道トリップ。 北海道出身の自分は、仕事の日以外も、家族に会ったり友人に会ったりと、かなり忙しいドタバタの滞在期間を過ごしました。各スポット数時間(あるいはそれ以下)とかだったけど、多くの人と本当に濃い時間が過ごせた。 前半は、去年から始まった札幌市との取り組みに関連するミーティングや、北海道在住の POW アンバサダー、様々なキーパーソンたちとのミーティングをこなし、後半は今回のメイン・イベントであるサーフムービー「Breath in the moment」の上映会イベントへの参加。 POW として出展し、学生向けの環境教育プログラム “Hot Planet Cool Athletes” もやらせてもらいました。 もちろんスノーボーダーとしても馴染み深い北海道。アウェイのようなホームのようなこの場所での(POW としての)デビュー戦を、こんな最高で温かいイベントで迎えられたことは本当にありがたかった。 ブースでは、友人たちやその日出会った人たちと、多くの話をし、北海道のみんなの気候変動に対する思いや感覚を聞かせてもらいました。すでに雪が雨に変わっている本州のスノーエリアと比べると大きな変化が見えづらい北海道。2年前に訪れた時は「いやー、本当に(気候変動は)起こってるのかねー?」という意見も少なくはなかった。しかし今回(7月後半)のタイミングはこれまでの北海道では考えられないような猛暑の真っ只中、誰もがその尋常ではない暑さの話をし、危機感を覚えていた。 “Hot Planet Cool Athletes” は、60人近くの方(うちのオカン含む)にかなり真剣に聞いて頂けて、実施後は絶賛の嵐!(大げさに言っております。) 自分が上手く話せていたかどうかはさておき、今地球で起きている変化や、何故私たちが今行動を起こさなければならないのか?多少なれど伝えることは出来たと思います。 ▲地元紙で掲載いただきました そしてそのプログラムの後、この映画を作ったプロサーファーで映像作家の和光大さんと、北海道大学の研究生で海洋汚染を調査している小川モニカさんと一緒にクロストークもさせて頂きました。冒頭でモニカさんの研究をスライドを交えて見せてもらい、海の汚染・マイクロプラスチック問題の深刻さが改めてよく分かりました。ネット上などで流れている情報からその状況は伝え聞いてはいたものの、実際に彼女が北海道の海で採取した海水から取り出したマイクロプラスチックの量に愕然となりました。想像は出来ていたものの、本当に信じられないような状況を私たちは生み出している。レジ袋やストローなどいくつかのものが廃止されるなど、多少の進歩も見られていますが、野菜をパッケージし、何から何まで個包装(袋の中に袋)する日本がやるべきことはまだまだ多い。今まで以上にそれを思うことが出来ました。モニカさん、ありがとう。 ▲小川モニカさん、和光大さんとのクロストーク そしてイベントのメインコンテンツである映画 「Breath in the moment」 すごく良く映画でした。「ライディング」「トリップ」だけにフォーカスしたものではなく、サーフトリップを通して環境問題に触れている作品ならではの後味があるのは間違いないけど、普通に面白い映画でした。ライディングもカッコ良かった。等身大で一歩ずつ理解を広げながら成長していく彼らと共にサーフトリップに加わったような感覚がすごく良かったし、ただサーフ(スノーボード)して帰ってくるだけじゃなく、その国の人やカルチャーにしっかり触れてくることの贅沢さと、大切さを改めて教わった気がします。ぜひ多くの人に見てもらいたい。特に、打ち込んでいるスポーツやアートなどで海外(&国内の別の地域)に行ってるような人たちはマストです。ここから日本各地で上映会が行われるようなので、ぜひ@breath_inthemoment をフォローして見て下さい。 それ以外にも様々なワークショップ、こだわりの出店、心地よい音楽、そして会場となったカミニシヴィレッジの新しいような懐かしいような包容力、素晴らしい出会い。本当に最高な、素晴らしいイベントでした。 和光大ちゃん、(会場の)カミニシヴィレッジ(@Kaminishi_village) のソウシくん、POW を呼んでくれた(中村)陽子、&繋がってくれた皆さん。本当にありがとう。 久しぶりの真夏の北海道。今回のトリップで「やっぱり北海道は最高だ。」と再確認出来ました。みんなありがとう!! また、この冬にかけて、札幌市との取り組みが進みます。その時また、繋がれると嬉しいです。 ありがとうー。 追記: 今回のイベントでの収益の5%を POW JAPAN

POW EARTH WEEKを振り返る

POW EARTH WEEKを振り返る Shotaro Takada POW EARTH WEEKに参加してくださった皆さま、ありがとうございます。 多くの方に関心を持っていただき、参加いただけたことを、とても心強く、そして頼もしく思っています。 POW JAPANでは4月22日のアースデイに合わせて、気候危機を訴える若者のアクションを応援、全国の市民・環境団体との署名提出や街頭スタンディング、NIKEやMAMMUTといったウインタースポーツの枠を越える企業との連携など、様々なイベントを企画しました。 これらの企画をきっかけに、皆さんと一緒に考え行動を起こすことで、地球への感謝と、「この素晴らしい環境を未来につなぐ意思」を表すことがPOW EARTH WEEKの狙いでした。 また、この期間には気候変動対策のカギを握る政治的な動きも予定されていたので、ここへの関心を高めることも企画の背景にありました。 4月22、23日にバイデン米大統領が主催したオンラインの気候変動サミットでは、主要な排出国が相次いで新たな温室効果ガス削減目標(NDC)を表明し、日本の菅首相も2030年度に「2013年度比46%削減」、という目標を掲げました。 従来の「2013年度比26%削減」からの引き上げによって前に進んだ感はあるものの、他の先進主要排出国と比べても野心的な数字とは言えない状況です*1。また、気候変動による様々な被害を抑えるための「世界平均気温上昇を1.5℃未満に抑える」という、国際的な合意を達成するためには、更なる上積みが求められています*2。 1.5℃と言われてもイメージしづらいかもしれませんが、世界の平均気温は産業革命前(1850~1900年)から1.2℃上昇したと言われています。さらに、昨年の世界平均気温は基準値(1980~2010の30年間の平均値)より、0.45℃高くなっています。わたしたちがスキーやスノボードを始めた頃と比べ、たった0.45℃気温が高くなっただけで、厳冬期に降る雨、短くなっていく冬、凍らなくなった湖など、明らかな気候と環境の変化を目の当たりにしているわけです。 温暖化の影響を最小限に抑えるために、日本はより高い目標設定と実践が求められているのです。とはいえ、昨年10月の「2050年カーボンニュートラル」、今回の「温室効果ガス2013年度比46%削減」が宣言されたことで、今後は企業や自治体の目標や計画が、これらの宣言に引っ張れる形で発表されていくことになるでしょう。これは気候問題解決の大きな推進力になります。 では、わたしたち一人一人には何ができるでしょうか? 国の数値目標は掲げられましたが、それはある意味、目指すゴールが示されただけで、その道筋が描かれたわけではありません。これからの「選択と行動」の積み重ねによって、目的地へのルートは徐々に明らかになっていきます。日々の消費行動を意識し、選挙や署名活動などを通して声を届けてみる。モノや資源を大事に使い、時には新しい技術にチャレンジしてみる。今までの考えや行動を変えてくための一歩を踏み出す勇気が問われています。 脱炭素社会の実現は、エネルギーや食や農業、住宅や交通からまちづくりまで、いま、社会が抱えている様々な課題を同時に解決する可能性を秘めています。その多くは、自分たちの生活、暮らす「まち」から始まるものです。世界や日本が掲げる目標に向かって、個人や、地域による取り組みを積み重ねていく。そんな挑戦はきっとワクワクするものに違いない、そう思っています。 わたしたちは日々の暮らしや、雪山や川、海といったフィールドでの遊びの中で、この地球で生きる喜び、感謝、敬意といった感情を育み、自然のルールを学んでいます。一方で、自然の許容を超える形で資源を使い続けてきたことによって、生態系の破壊や気候変動など、取り返しのつかない事態も目前に迫ってきています。 当たり前だけれど、つい見えなくなってしまうこと、私たちは “地球の上に生きている” ことに気付かせてくれる、そんな効果がアースデイにはあるように思います。POW EARTH WEEK では、自然を愛する多くの仲間の存在を再確認することができました。 「毎日がアースデイ」を実践し、いま地球が抱える問題を解決していくための力となれるよう、POW JAPANは活動を続けていきます。 *1 Friday For Futureのinstagramにて、各国のNDCの比較がわかりやすくまとめられています。 *2 Climate Action Tracker POW EARTH

一歩踏み出してみて

一歩踏み出してみて Nanami Takei 初めまして、POW JAPANでインターンをしていた武井です。 「気候変動に対して何かしたい!でも、何をしたら良いんだろう・・・」と悩んでいたときPOWとの出会いがあり、2020年10月から約5ヶ月、インターンシップとして活動してきました。 インターンの最後にこの場をお借りして、気候変動という途方も無いほど大きな問題に対しても、一歩踏み出せば、出来ることは沢山あるし、その行動を応援、手助けしてくれる人が沢山いるということを伝えたいです。 まず、私の自己紹介を簡単にさせてください。 大学を卒業後、青年海外協力隊員として西アフリカのベナン共和国で1年ほどボランティア活動をしていました。その時、干魃で作物が採れないのを目の当たりにし、豪雨で自分の家に住めなくなった人々に出会ったことがきっかけに、気候変動は人の命に関わる問題であると痛感しました。帰国後、京都大学大学院の修士課程で勉強しながら、気候変動に対して何かしたいと思っていた時に、ご縁があってPOWと出会いました。その後事務局長とオンラインで面談し、初代インターンとしての活動が決まりました。(詳しいプロフィールはこちらからご覧ください) はじめてPOW事務局メンバーと会った翌日に訪れた「気候変動を知るin野沢温泉」(著者は左から二番目)。ここで出会ったアンバサダーの河野健児さんからヒントをもらった。 インターンがはじまってすぐ、白馬を訪れ全員が集まるミーティングに参加しました。その時の感想は、スピード感が早い、対スキー場や対地方自治体など企画のスケールが思っていたより大きい。「こんな団体で私が貢献できることはあるのか?!」と最初から自信をなくしました(笑)。 翌日、「気候変動を知るin野沢温泉」に同行し、気候変動講習を見たり、受付を手伝ったりしました。イベント終了後にはPOWアンバサダーの河野健児さんを交えて、POWのこれからの活動について会話していた際に、河野さんから「バックカントリーやフリーライドだけでなく、競技スキーなどの様々なジャンルの滑り手も巻き込んでみては?学生に対してアプローチするのも良いのでは?」と貴重な意見をいただきました。 私は学部生時代にアルペンスキーをやっていたし、学生という立場でもある!これを生かして、今までの私のようにPOWを知らなかった人達に対してPOWを広める活動をしようと思いました。 方向性が決まれば、その後は早く、数回のミーティング(私は京都からオンライン参加)で、POWのパートナーでもある白馬岩岳スノーフィールドで開催される「岩岳学生スキー大会」にブースを出展するという具体的なアクションが決まりました。 人生で初めて企画書を作り、提案をするために再び白馬へ。ローカルのプロスノーボーダーでもある福島 格さんのご協力もあり、大会事務局の方にも快諾して頂けました。 (上)2月に行われた岩岳学生大会 基礎の部。(下)ブースに立つ武井。 大会当日。まずは2月下旬に行われた岩岳学生スキー大会の基礎の部にお邪魔しました。ブース出展初日にブースに来てくれた方はわずか3人。せっかく、ここまで色んな人に協力してもらったのにどうしよう、と不安になりました。たしかに、選手だったら大会に集中したいし、私も現役の時は、競技で結果を出すことだけに集中していて、気候変動の「き」の字も浮かばなかったし、興味もなかった。でも、そんな自分だからこそ、同じように競技に集中する人達に対してのアプローチも思いつくのでは?と考え、他のメンバーにも相談しました。 そこで、大会が終わった選手が訪問しやすいように、室内にブースの位置を変更しました。しかしそれでも、誰も来ない・・・。 その時、POW事務局方々が、自分から学生に声をかけはじめていました。私も学生に声をかけたいと思うけど、なかなか勇気がでずブースで一人モジモジしていました(笑)。 数分後いざ、勇気を出して話しかけると、POWの活動について好意的な反応をしてくれたり、「活動、頑張ってください」と応援してもらえたり、たまに無反応の人もいたりと色んな反応が返ってきました。「POWの活動はとても重要なんだ」と認識する一方、まだまだ知名度も低いし、スノーコミュニティーの中でも伸びしろが沢山あるなと感じました。 3月に開催されたアルペンの部。雪はかなり厳しい状況。 3月上旬に行われたアルペンの部では、POWの事務局スタッフだけでなく、ボランティアの方々も手伝いに来てくれました。会場設営から学生との会話、最後の撤収作業まで、本当に積極的に動いてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。 そして、アルペンの部では私もモジモジせず(笑)、色んな方とお話することができました!特に私自身もアルペン競技に打ち込んでいて、この大会にも参加していたこともあり、一緒に練習していた友達やコーチの方々を通して、多くの方々にPOWの活動について話すことが出来ました。「POWのステッカー貼りましたよ!」と言って、スキーブーツを見せてくれた時には感激しました! この大会をもって、私のインターン活動は終わりました。POWの事務局長と面談したことがきっかけで、こんなに自分のなかで変化が起きて、行動できて、とても驚いています。 この記事を読んで頂いた方の中には、 「気候変動について良く知らないし・・・」 「今まで何もしてこなかったし・・・」 「スキーもスノーボードも初心者だし・・・」 という方もいるかもしれません。でも、だからこそ「あなたにしかできないこと」があると思います。そして、あなたが一歩踏み出せば、きっと背中を押してくれて、助けてくれる人は沢山いるはずです。 私は、ひとまず修士論文の執筆に注力しますが、時間ができたらまた新たな一歩を踏み出したいと思っています。そして、今回背中を押してくれたり、応援してくれた方々のように、誰かの一歩を応援する人でもありたいと思っています。 最後に、こんな活動の場を用意してくださったPOWの皆様とPOWを支えてくださっているオーディエンスの皆様、本当にありがとうございました! 大会前日にPOW事務局メンバーでセッション。

私たちにも、できること

私たちにも、できること Yukiko Komatsu 「雪が降ったら、絶対に一緒に滑ろう!」 それは河野由貴子と橋本通代がPOW JAPANのアンバサダーに加わってすぐに決めた私の小さな目標、ミッションでした。 リフトに乗れば、あの頃の話で盛り上がる私たち。 2人とはカナダのウィスラーで出会いました。独身時代は3人とも日本と海外を飛び回りそれぞれの活動をしている中でも、滑る時間やそれ以外の時間を共有し、毎回会えた時に聞く近況報告がとても楽しみでした。迷ったとき、行き詰まったときは彼女たちに常に支えてもらっていたし、2人を近くに感じることだけでもたくさんの刺激と学びをもらってきました。 「森の中は雪が良さそうじゃない?」みっちゃんの到着まで雪の状態をチェックする。 それにしても、最高の天気に恵まれた。 ふっと訪れた16年ぶりの再会、そして雪上でのセッションが決まったこの日。 「いってらっしゃい」と送り出してくれた家族にも、最高に恵まれた天気にも、心から感謝しながらゴンドラに乗り込み、カリカリのアイスバーンでさえも「やっばい!最高ーーーっっ!!」と叫びながら滑る私たち。数本、ゲレンデライドを楽しんだ後にアバランチセットを持って再スタート、いざふわふわの世界へ。 野沢温泉のローカル、河野由貴子が今日のガイド。 野沢温泉スキー場のこと、森のこと、いろんなことを彼女から聞きながら、雪上を歩く。 以前、2人からもらった刺激や学びは今も変わらず、久しぶりに会えたからこそお互いの強くて逞しい部分を再確認し元気をもらえたし、自分に足りないものに新しく楽しい目標ができたりもして、時間が経った今でも、やっぱり2人には最高のリスペクトを感じました。 16年ぶりの雪上セッション みんな母になり新しい家族との時間、それぞれの状況下でスノーボードと向き合う時間を過ごした十数年間。会えるなんて簡単に想像が出来なくなるくらい、いつのまにか長い年月が経過し、状況が変化していく中で、私たちには「POW」という共通点が生まれ、それぞれの存在をまた近くに感じられるようになっていきました。 滑ること、話すこと、いい景色を見ること、美味しいものを食べること。共有できる時間は昔より限りがあるけれど、楽しい時間を宝物のように一つひとつを大事にして過ごしたい。 楽しんでいるからこそ、子どもたちが生きる地球の未来を本気で考える、その強い想いから生まれる最高の形を探して… 新しい何かが始まった予感がします。 私たち女性の感性や柔軟性を生かしてできること、私たちにしか出来ないことがある。 そこに雪があるから、そこにみんながいるから、私もみんなと楽しみたい。そして、守りたい。 以前は会えることが奇跡的なことに感じられたけど、16年ぶりに雪上で再会できたことで、ここからはじまる彼女たちとの時間に、期待とワクワクが今も止まりません。 またこうして一緒に滑れる日が来たことに心から感謝しています。 最高の1日をありがとう。

脱炭素社会へ、地域から変わる

脱炭素社会へ、地域から変わる HAKUBAはそのモデルケースになり得るか Shotaro Takada 「POWって白馬の団体でしょ?」 こんな風に思っている方も少なからずいるのではないでしょうか。実際にそういった反応も耳にしてきました。これはある意味間違っていないし、そう思われるのも当然と言えるくらいにHAKUBAエリア(大町、白馬、小谷)にフォーカスして活動してきました。でも、冒頭の問いかけにはこう答えたい。 「うーん、そうとも言えるけど、これからPOWの活動は全国のスノータウンにじわじわと広がっていくよ!」 夏と冬、全く異なる表情を見せる白馬の山々。冬の荘厳な出で立ちが滑り手たちを惹きつける。 多様な色彩を持つ春夏の白馬。 POW JAPANは気候変動という世界が直面している最も深刻な問題の一つに、滑り手のスタンスから取り組んでいます。その活動は二つに大きく分けられます。一つは全国のスキーヤーやスノーボーダー、自然愛好家たちに対して、問題解決に向けてアクションを起こそうと呼びかけること。もう一つは、国や自治体、企業など、社会の仕組みに対して大きな影響力をもつセクターに自分たち(滑り手)の声を反映させて、実際に変化を生み出していくこと。これまでにHAKUABAエリアに焦点を当てて活動してきたのは、後者の成功事例を作るためでもあります。 2019年春以降、POW JAPANのHAKUABAエリアでの活動は多岐に渡ります。シンポジウムや各種イベントの開催、応援署名収集や気候マーチの協力、各スキー場との意見交換や勉強会。こうした活動の積み重ねや、地域の多様な仲間たちとの連携によって、HAKUBAエリアのスキー場による環境の取り組みや、白馬村、小谷村の「気候非常事態宣言」など、地域の変化の兆しは至るところに見られています。 昨年6月に開催したシンポジウムの様子。 9月、白馬高校の高校生たちを中心に行われた気候マーチ。 HAKUBA内のいくつかのスキー場では再生可能エネルギーへの電力切り替えや、LED照明の導入、断熱設備の拡充によるエネルギーの脱炭素化や省エネへの推進が行われています。また、カープールパーキングの設置や、索道ユニフォームにPOWロゴを入れるなど、お客様への啓蒙に繋がる取り組みも見られます。従業員への気候変動講習を実施するなど、社内教育の機会も作られています。 この春には(たぶん日本のスキー場では初めて!)八方尾根スキー場にSDGsを専任する部署が設けられ、来たるウインターシーズンにはHAKUBAのスキー場における再エネへの切り替えの動きが昨年以上に広がっていきそうです。 白馬八方尾根スキー場のアルペンクワッドリフトでは、2020年2月より通年で「CO2フリーメニュー」を適用し、CO2ゼロで運行中。 エイブル白馬五竜で行われた従業員向け勉強会。 そして、2020年春。コロナ禍で大変な時期にも、さらなる変化に繋がりそうな二つの会議が現在進行中で開催されていて、光栄なことにPOWも委員の一員として参加させていただいています。 一つは、大町市、白馬村、小谷村の三市町村の観光に携わる地域連携DMOである『HAKUBA VALLEY TOURISM(HVT)内のSDGs委員会』。この委員会ではHAKUBA VALLEY内の行政やスキー場、宿や飲食店などがエコツーリズムの実践の場として、それぞれの業種でできるSDGsの取り組みを検討しています。POWは当初、スキー場の気候変動対策を後押しすることを一番の目的に参加していました。しかし、エリア全体が持続可能な自然環境、社会を目指す動きは、そこで暮らす人々が豊かさを感じ、魅力的な観光地としてあり続けるためにも求められるチャレンジです。そういった意味では、気候変動の問題だけにとらわれず(それにSDGsの17の目標の多くは、気候変動に関連する内容です!)、この取り組みの着実な成果を出すために貢献したいと考えています。 もう一つは、『白馬村再生可能エネルギーに関する基本方針等連絡協議会設立準備会』です。とっても長い名前なのですが、簡単に言うと、昨年末に白馬村が出した気候非常事態宣言をいかに具現化していくか、再生可能エネルギーをどう位置付けていくかを検討する委員会です。気候変動の主要因となっているCO2の排出を減らすために、再生可能エネルギーは欠かせないツールではありますが、「白馬村に適している(または、市民に受け入れられる)エネルギー源は何なのか」「豊かな自然環境と共存できるのか」「気候変動対策と同時に地域内の経済循環に繋がる仕組みは?」など、様々な切り口から村内の再生可能エネルギーのポテンシャルを他の委員のみなさまと検討していきます。 HAKUBAではこのように行政、企業、市民団体や学生が連携しながら、地域の脱炭素化を推し進めるプロセスがはじまっています。POWはこれらの動きに伴走しながら、ここで得た知識や経験を、他のスノーリゾートや自治体にも活かしていきたい、そんな風に考えています。 そして、徐々にではありますが、この取り組みの横展開に向けて、北海道や長野、新潟、群馬、岐阜などのスノータウンの方々とも意見交換や企画検討を進めています。 冬を守るために、行動を起こす。そして、さらには地域を変える。 そんな思いある全国の滑り手の活動をサポートができるように、まずは白馬からモデルケースを作っていきます。

「再エネへの切り替え」が「考え、話しあい、決めていく」のきっかけになることを願って

「再エネへの切り替え」が「考え、話しあい、決めていく」のきっかけになることを願って Goro Komatsu 「Change is POWer」キャンペーンに参加してくださったり、関心を寄せてくださりありがとうございます。 POWがなぜ電力会社みたいに電気の切り替えを宣伝しているか、それは私たちが日常的に使用する電気を発電する際に排出されるCO2が気候変動と大きく関わっているから(詳細はWEBページをご覧いただけたら嬉しいです)。私たち一人ひとりが再エネに切り替えることで、CO2の削減に大きなインパクトを与え、それが日本の電力事情に変化をもたらすチャンスになるかもしれません。 インパクトがあって、とても簡単にできるアクションだからこそ、皆さんにやってみてほしい、そういう願いを込めて、パートナー企業のサポートを受けて、今回のキャンペーンをしています。 しかし、再生可能エネルギーにも課題はあります。 実際に、このキャンペーンに多くの方が賛同してくださった一方で、否定的な意見もいただいています。 再エネへの切り替えを勧めている私たち POW も、再エネに関連する課題を認めています。山を切り開いて作られるメガソーラー、山や丘、海岸などに並ぶ巨大風車の影には、人々の生活や想いがあり、自然環境があります。大きく見れば「良いもの」と考えられるものでも、その細部を見るとそれが「脅威」となっている側面にも目を向けなければなりません。自然の風景やライフスタイルを愛し生きる者として、その想いは十分に理解できるものです。 とはいえ、現代のライフスタイルに電気は必要、というのもまた事実です。 電気無しで生きることが「絶対に無理」とは言いませんが、社会全体が目指す姿にはなり得ないでしょう。しかし、減らせる部分は確実にあります(日本では特に)。電気に限らず、様々な無駄をなくしていくための努力は、間違いなく必要です。 それでも、ある程度のエネルギーはなんらかの形で用意しなければならない。 じゃあ原子力発電所を新たに作ろう、となったらおそらく多くの人は反対します。原発事故の悲しさは、もはやほとんどの人が知っているはず。それでも新設するとなれば「電気を作るため」以外の理由が何かあるのかと疑ってしまうほどです。 では、石炭・天然ガスによる火力発電所はどうでしょうか?原子力のような恐ろしさとは異なるものの、それらが大気や気候に他の何よりも影響を与えているとしたら、廃止に向けて動き出すべきです。 生態系を壊し、川の姿を大きく変える「ダム」にも課題が多く、ダムをこれ以上増やしていくことは賢い選択肢とはいえません。 エネルギー問題は、本当に難しい問題です。出来ることなら考えないでいたい、というのが本音かもしれません。 しかし、毎日使う、文字通り私たちの生活を「支えている」ものだからこそ、本来はしっかり考えるべきなのです。福島第一原発事故、気候危機が原因とされる気象災害や雪の降りかたの変化、何十年も続くダム問題、そして、再生可能エネルギーについても。。 今回のキャンペーンを通して提案している再生可能エネルギーも、細部に目をやると現段階では完璧な答えではありません。気候危機の時代に対応する技術として世界各地で広まっていますが、なかには自然のことなど全く考えていない人や会社によって扱われているケースも実際にはあります。だからこそ、目を向けてほしい。しっかりと考えてほしい。 自然環境や周辺住民の暮らしと調和できているのか?、 この場所でいい?より良い形は? 自分や地域で自給できないだろうか? 再エネは脱炭素社会を目指すうえでは欠かせない存在で、大きな可能性を持っています。 その可能性を活かしたい。 再生可能エネルギーを選ぶ人が増えれば、そこに目を向ける人も増え、より良い形を実現する力が高まっていきます。 このキャンペーンをきっかけに切り替えてくれた皆さん、考えてくれた皆さん、やっぱり反対の皆さん、ぜひ一歩進んで、自分が使っているもの、選ぶものの背景や、そこで起きていることを知ってみてください。 そして、みんなで考える、話し合い、決められるようになる。今回のキャンペーンがそんなきっかけであることを願っています。    私たち一人一人の変化は「小さな力」でしかありませんが、同じように、「大きな力」に見えるものもその小さな力に支えられていることを、忘れないでください。 最後まで読んでくれてありがとうございます。 POW Japan 代表 小松吾郎

電力をより身近な存在に

電力をより身近な存在に Riki Nakajima 今日のご飯は何にしよう。 家の近所の魚屋さん、豆腐屋さん。 店の大将や女将さんとのやりとり。 野菜の直売所で生産者さんから直接野菜を買う。 小さな町の商店で食材を選ぶ楽しみ。 そんな感覚で電気も選びたい。 我が家では、それぞれの電力生産者さんの顔を見て、電気を買うことができる“みんな電力”さんから電気を買っている。できるだけ地産地消を実践したいので、県内で耕作放棄地を活用し、ソーラーシェアリングをしながら日本の農業の危機的時状態を下支えにすることで地域振興を進めるという活動をされている発電所を応援している。 応援先の発電所を実際に見学。実際の農業や発電のお話も聞かせていただきました。 日本では農業だけで生計を成り立たせるのは非常に難しい状態に追い込まれ、廃業や転職を迫られる農家さん、耕作放棄地が増えている。そこで田畑の上を発電所としても有効活用し、利益を生み出す。農業と発電という2本の柱で運用することは理にかなっている。これを普及させることができれば売電で得られる利益を下支えに、日本の農業は衰退から一転させることができるはず。そんな信念を持って活動されている発電所。 応援先発電所の原点。ここからソーラーシェアリングの試みが始まりました。下では自然栽培で里芋が育てられています。 しかもこの発電所さんを応援することで半年に1度、そこで取れたみかんのジュースを送ってきてくれる。電気の生産者の顔が見えれば、電線から我が家に流れ込む無味な電力にも親近感が持てる。なんだかワクワクする。そして、(ほとんどの場合は)電気料金も安くなる。 多くの想いを持って立ち上げられた発電所が各地に存在する。そういった想いに電気料金という形で応援する意思を示す。その意思がさらなる再生可能エネルギーの拡充を推し進める。 自然栽培で育てたお米は地元の酒造に持ち込んでお酒にもするそうです。田んぼでのソーラーシェアリングはまだ多くありません。 先日実家に帰った時に、僕の実家の電力も再エネに移行してきた。全くパソコンの触れない母はスマートフォンの扱いも怪しくネット経由での契約変更は難しく、一から全てを説明し、一から手続きの処理をしてあげなければいけなかった。 高齢者が人口の半数以上となっている社会的な現状、そして多くの場合そういった方々が家庭や会社における意思決定権を多く持っている現状。「原発反対!」「これからは再生可能エネルギーだろ!」と思っている人が多いはずなのに、社会が一気に動いていかない理由がここにひとつあると感じた。 まだ変えていない友人や家族に直接、自分の言葉で伝えて、知ってもらう。そして、自分では変更が難しいという人がいたら、面倒でも移行の手助けをしてあげる。ぜひそこまで関わってあげてほしい。そうすることで社会が変わる。そう強く感じている。 Take Action♪ Change is POWer 選ぼう、自然のエネルギー 再エネ切り替えキャンペーン実施中(7/3~7/31)! 詳細はキャンペーンページをチェック。 キャンペーンページを見る

「買う」というストーリー

「買う」というストーリー Goro Komatsu 先日、POW Japan の事務局で使うコンピューターを購入しました。 会計用ということで、それほど高いスペックのものは必要ないのですが、個人所有のマシンを使用するのは適切ではないのと、POW Japan を手伝ってくれている会計事務所が推薦するソフトを使うには(経理担当者が所有する)Mac ではなく Windows マシンが必要だったのと、引き継ぎの時のことなども考え、専用のものを購入することになりました。 さて、いざ買うとなっても、自分もずっと Mac だったので、 Windows マシンのことはほとんどわかりません。ざっくり市場を覗いた後、思い出したのは、数週間前に SNS で見た、元 Patagonia 日本支社長の 辻井隆行さんの投稿。それは、企業が廃品にする電子機器などを買い取り、新品同様に整備して販売するピープルポートと言う会社のお話でした。紛争や迫害を理由に日本に逃れて来た難民の方々にトレーニングを提供し、彼(女)らの手で整備され、新たな命を吹き込まれた製品を販売する取り組みだそうです。 社会環境負荷が低くない「コンピューター」をリユーズするだけでも意味があるのに、それをもう一歩、いや、もう一歩以上進めるなんて。本当に素晴らしい取り組みです。と言うことで早速、辻井さんに連絡を取り、繋いでもらいました。新型コロナウイルスでいつも以上に忙しい状況の中、代表の青山さん自ら対応してくださり、こちらの条件を細かいところまでお話して、ちょうどいいものを選んでもらいました。クリーンされたのち、新品のバッテリーが入れられたマシンは、必要なソフトウェアがインストールされ、POW Japan 事務局に届きました。箱を開けると、心機一転間違いなく、 POW Japan のために活躍してくれるであろうコンピューターと納品書、そして、なんと代表青山さん直筆の手紙が入っていました。手紙には、直してくれた(難民の)方の写真、そして「こう言う団体で使われるんだよ」と伝えてくれたエピソード、彼らもそれを喜んでいる、と言うメッセージが書かれていました。 Photo: POW事務局に届いたPC。これからどうぞよろしくね! 正直、コンピューターを買うのは何回目かわかりませんが、こんな感動は初めてでした。それは、すごいマシンを得て感動しているのとは、また別の次元の、心に残る、暖かい、感動でした。普段から「買い物は買い方、買う場所を選ぶと全然ストーリーが変わるんだよ。」と伝えていた中3の長女にこの話を紹介すると、彼女も感動していました。 青山さん、本当にありがとうございます。繋いでくれた 辻井さんにも感謝です。 もう、次買う機会があったら(しばらくないけど)絶対ここでお願いしよう、と思っています。 長文読んでいただきありがとうございます。 気持ちいい。 ピープルポート https://peopleport.jp/

気候ネットワーク

気候ネットワーク Goro Komatsu 「気候ネットワーク」と言う団体をご存知でしょうか? 気候変動問題に関心を持っている方なら、どこかで聞いたこと、見たことがあるかも知れません。「気候ネットワーク」は1997年に京都で開催されたCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)で京都議定書が採択されたことをきっかけに、1998年に(当時はその前身である「気候フォーラム」という名前で)発足しました。当時は今と比べ、気候変動問題は、国連や政府が取り組むような「大きな問題」「遠い問題」と捉えられていた時代でしたが、大きな問題を解決するには私たち一人一人がその現実を理解し、行動を変化させる必要がある。ということを、より広く社会に伝える役割をいち早く担ってきた、いわば「市民目線」で気候変動問題解決に取り組む日本を代表する団体です。 実は私たち POW Japan も、立ち上げ時点から「気候ネットワーク」さんとのご縁をいただき、様々なことを学ばせていただいています。活動の範囲も、団体としての規模や経歴も、比べ物にならない、大先輩といえるこの団体が発信している様々な情報は(ちょっとレベルは高目ですが)、気候変動問題に対する日本や世界の取り組みを知る上でとても参考になります。もう一歩先の情報を得たい、より深く知りたいという人は、ぜひ「気候ネットワーク」の活動をフォローすることをお勧めいたします。 さて、このタイミングで「気候ネットワーク」を紹介した理由なんですが、実は私(POW Japan 代表小松吾郎)、この「気候ネットワーク」のニュースレター「気候ネットワーク通信」の最新号(2020年5月号)に、特別寄稿として1ページを頂き、スノーコミュニティー(雪文化圏)が感じている気候変動の今を「いま、雪の未来のために」と題して書かせていただいた、のです。活動の先駆者の方々やそのフォロワーの方々が読まれているであろうこの通信への寄稿は、正直、断りたいくらいのプレッシャーを(勝手に)感じていたのですが、そういった場に自分たちの存在を知ってもらういい機会ですし、背伸びしても背は伸びない。ということでお受けさせていただくことにしました。 今年は記録的な少雪シーズンだったということもあり、多くの方が感じたであろう冬の異変と、その事実がスノーコミュニティーにもたらしている影響について、ちょっとだけマニアックな雪山の話を書かせていただききました。反対に、POW のムーブメントをご存知のみなさんには、それほど特別な情報ではないかも知れませんが、よろしかったら読んでみてください。 そしてぜひ、この機会に「気候ネットワーク」のフォロー&サポートを重ねてお願いします。 ありがとうございます。

ニセコ町訪問 ~環境モデル都市アクションプラン~

ニセコ町訪問 ~環境モデル都市アクションプラン~ 2月、POW Japanは環境モデル都市に選定されたニセコ町を訪問してきました。その目的は、環境モデル都市に選定されて環境と経済の両軸で持続可能な町を目指してアクションプランを進めているニセコ町役場の担当者の方にお会いし、ニセコ町の状況の把握や意見交換を行うこと。今回のブログでは、持続可能な街づくりをしている自治体のアクションを知り、それを滑り手が応援する、さらには各滑り手のローカルでも取り組みの参考になることを願って、訪問の様子をレポートします。 ニセコを訪問したのは2月末。ニセコエリアも例に漏れず小雪の影響を受けており、晴れ間には道路が乾燥していた。滞在中は比較的気温が低く、少量の降雪もあり軽くドライで上質な雪を楽しむことができた。パウダーデイにはならなかったが、雪崩管理されつつも広大な非圧雪エリアは非常に魅力的なスノーリゾートで国内外からこの地を目指す理由が良くわかる。しかし今シーズンは小雪に加えて新型コロナウィルスの影響もあり、海外からの旅行客が少ない印象だった。 町役場の方とお会いする前に、ニセコエリアを少し周ってみた。ご存じの通り、最も開発が進んでいるのはニセコ町のお隣になる倶知安町のグランヒラフ山麓ベース周辺と倶知安駅周辺。碁盤目状に整備された区画に所狭しと建物が建っておりグランヒラフのベースにはマンションのような大きなホテル群に圧倒される。幼少期を倶知安町で過ごしたPOW Japan代表の小松吾郎によると、昔は隣の家との距離がありその間には森が続いていたという。その後、年々増加するゲストを受入れるために広範囲にわたる開発が進んだそうだ。ニセコ町も倶知安町ほどではないがやはり開発が進んでいて、不動産情報誌に掲載されている値段は桁一つ多い感じ、自分は「お呼びでない」なんて感じてしまった(笑)。 ニセコ町役場訪問 ニセコ町の基幹産業は農業と観光業で、冬季は世界に誇る雪質と大規模スノーリゾートで国内外から多くの観光客が訪れ、夏季も体験型アウトドアスポーツが盛んだ。町の政策としては、前述の2大産業を支えるのは「環境」であることから、持続可能なまちづくりに力を入れており、国からも2014年に「環境モデル都市」に、2018年に「SDGs未来都市」に選定されている。また、2001年に、全国で初めて「町の憲法」といわれる自治基本条例「まちづくり基本条例」を制定し、「住民参加」と「情報共有」を柱とし、「相互扶助」によるまちづくりを推進。人口は5000人程度で、多くの市町村が人口減少する中で2000年以降、子育て世代やリタイヤ後の移住者などによって増加傾向にある。 ニセコ町役場でお会いしたのは、環境モデル都市を推進担当のお二人。そしてPOW Japanパートナーであり、ニセコエリアでスノースクールを主宰するFar East Snow Sportsから3名も同行してもらった。彼らはニセコエリアで自主的に環境関連映画の上映会や、環境ミーティングを開催している熱い想いを持ったメンバーだ。 環境モデル都市の動き ニセコ町では2014年から、「2050年までにCO2排出量を86%までに低減する」というかなり野心的な目標を立ててスタート。2014~2016年第1次環境モデル都市アクションプランとして、ニセコこども館省エネ建築工事、地中熱ヒートポンプ導入、町民エコ運動を実施。しかし、人口・観光客、開発が増加により温室効果ガス排出量の増加圧力が高まる一方という状況で、目標を達成するためにアクションプランの見直しが必要となった。そこで専門的な事業者を公募し、ドイツ在住で環境ジャーナリスト・環境コンサルタントの村上敦氏が代表を務めるクラブヴォーバンに再策定を委託。住民との対話、ニセコ町の将来像の絵巻作りなどを経て、画期的な第2次環境モデル都市アクションプランが出来上がった(クラブヴォーバンによる温暖化対策計画の策定と背景はこちらも参照ください)。次に、2019年からはスタートとした第2次環境モデル都市アクションプランをご紹介する。 <建築関連> 超省エネの役場新庁舎建設:域外へ流出するエネルギーコストを最小化するために、まずは役場新庁舎を次世代の超断熱仕様で建設中。トリプルガラス内側樹脂サッシ、約20cm厚の断熱材などにより、断熱性能は外皮平均熱貫流率Ua値0.18(北海道の推奨値は0.4)という驚く値!高断熱は外からの熱の出入りを小さくするため、館内の冷暖房にかかるエネルギーを通年で削減することができる。設備面ではLPGコジェネレーションシステム(発電しながら無駄なく熱を再利用するシステム)、屋根に太陽光パネルスペースを準備(後述する市民主導の再エネ事業に使ってもらう計画)。 コジェネは、使い始め時期はLPGを使用して発電するそうだが、将来予測されている人口減少時期には再生可能エネルギーが余ることも見通されており、その余剰電力で作った水素を発電のエネルギー源に使うことが想定されている。(まず設備を作っておいて、将来的に化石燃料ではないエネルギー源に移行ができる準備) NISEKO生活モデル地区: 当面の人口増加圧力に伴う住宅不足を解消しながら、生活の低炭素化を実現するために、環境配慮型集合住宅の建設を進める施策。高断熱の集合住宅はエネルギー消費削減だけでなく、高齢者に多くなるヒートショック対策にもなる。 工区を分割して段階的に開発することにより世代が偏らないように工夫されており、暮らす人の健康とコミュニティーの持続性もあわせて「住みたい」と思えるモデル地区構想になっていた。 <エネルギー関連> NISEKO生活モデル地区の開発・運営とエネルギー事業を行うまちづくり会社を設立し、省エネと地域経済循環を高める。再生可能エネルギーもメガソーラーなどの乱立防止と町民主導型の事業を優遇して町民出資を促進する仕組みを目指し公共施設の屋根スペースなどの提供も行う。地産地消の再生可能エネルギーへのシフトは、資金面においても「域外への流出」から「域内の循環」へシフトし地域経済の活性にもつながる最も良いエネルギーの形ですね。これが実現すると大きな前進であり、他の自治体にも広がる期待感でワクワクします。 <移動関連> 地方都市ではやはり自動車依存が高く、ニセコ町において「移動」は観光・サービス業に次いで2番目に温暖化ガス排出割合が多いセクター。クラブヴォーバンによると、生活に必要な施設が近いエリアの集合住宅には高齢者に入居してもらい、車移動が可能な若い世代の移住者には郊外の空いた家を提供する形も検討されていた。生活圏の距離が短くなることで徒歩や自転車利用を促進し、健康増進と移動時の温室効果ガス排出低減につなげる。グリーンシーズンの体験型の観光立地の強化にもつながる。 また人が集まって住む生活モデル地区の整備が進むと公共交通の利用率向上にもつながる。地方都市でありがちな、居住区が分散しているために潤うバス路線が少なく、結果としてバス本数が少なく利用者が減る悪循環を解決する形だ。 バスの利便性を高め、将来的にはEVバスを導入して更なる移動セクターの温室効果ガス排出低減が考えられている。 <事業活動の低炭素化とインセンティブ(新税導入)> ニセコ町の温室効果ガス排出量1位の「観光・サービス業」セクターに対しては、省エネ推進する意思のある事業者と協定を結び優先的にインセンティブを提供することで、低炭素化と事業者のコストメリットの両輪を目指す。財源としては新税(仮:宿泊税)の導入が検討されている。その税収を財源に宿泊施設の窓を断熱効果の高い窓へ交換することなどに充てることで、空調に費やす費用・エネルギーを削減できる。目的が明確で、且つ事業者と環境に還元される良い仕組みではないか。 質疑応答では、Far East Snow Sportsメンバーからも食関連、プラスチックゴミ問題、開発による森林減少に対する危機感など地元に関わる環境問題を幅広く意見交換させていただいた。環境問題には幅広く課題があるが対話から見えてきたのは、限られたリソースの中で気候変動問題の解決に向けて最優先と考えられる温室効果ガス排出量の削減にフォーカスしているニセコ町の姿。環境モデル都市として国から選定を受け、専門機関が入り、気候変動問題の解決に向けて最優先と考えられるCO2排出量の削減に向けて2030年までに44%削減、2050年までに86%削減するという大きな目標に向かって現実路線で動き始めている先進事例であることは間違いない。 そしてそれが日本屈指のスノーフィールドの地で進んでいる。我々滑り手はまずしっかりとその取り組み内容を知り、応援し、さらには関わっていくことが大切だと思う。これからのニセコ町の動きが楽しみであり、全国のスノータウンに波及していくことになれば最高にエキサイティングだ。 (参考) ・ニセコ町Web Site / 環境モデル都市 ・広報ニセコ 2020年2月 (特集:ニセコ町の未来をつくる 環境モデル都市アクションプラン)

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