脱炭素社会へ、地域から変わる

脱炭素社会へ、地域から変わる HAKUBAはそのモデルケースになり得るか Shotaro Takada 「POWって白馬の団体でしょ?」 こんな風に思っている方も少なからずいるのではないでしょうか。実際にそういった反応も耳にしてきました。これはある意味間違っていないし、そう思われるのも当然と言えるくらいにHAKUBAエリア(大町、白馬、小谷)にフォーカスして活動してきました。でも、冒頭の問いかけにはこう答えたい。 「うーん、そうとも言えるけど、これからPOWの活動は全国のスノータウンにじわじわと広がっていくよ!」 夏と冬、全く異なる表情を見せる白馬の山々。冬の荘厳な出で立ちが滑り手たちを惹きつける。 多様な色彩を持つ春夏の白馬。 POW JAPANは気候変動という世界が直面している最も深刻な問題の一つに、滑り手のスタンスから取り組んでいます。その活動は二つに大きく分けられます。一つは全国のスキーヤーやスノーボーダー、自然愛好家たちに対して、問題解決に向けてアクションを起こそうと呼びかけること。もう一つは、国や自治体、企業など、社会の仕組みに対して大きな影響力をもつセクターに自分たち(滑り手)の声を反映させて、実際に変化を生み出していくこと。これまでにHAKUABAエリアに焦点を当てて活動してきたのは、後者の成功事例を作るためでもあります。 2019年春以降、POW JAPANのHAKUABAエリアでの活動は多岐に渡ります。シンポジウムや各種イベントの開催、応援署名収集や気候マーチの協力、各スキー場との意見交換や勉強会。こうした活動の積み重ねや、地域の多様な仲間たちとの連携によって、HAKUBAエリアのスキー場による環境の取り組みや、白馬村、小谷村の「気候非常事態宣言」など、地域の変化の兆しは至るところに見られています。 昨年6月に開催したシンポジウムの様子。 9月、白馬高校の高校生たちを中心に行われた気候マーチ。 HAKUBA内のいくつかのスキー場では再生可能エネルギーへの電力切り替えや、LED照明の導入、断熱設備の拡充によるエネルギーの脱炭素化や省エネへの推進が行われています。また、カープールパーキングの設置や、索道ユニフォームにPOWロゴを入れるなど、お客様への啓蒙に繋がる取り組みも見られます。従業員への気候変動講習を実施するなど、社内教育の機会も作られています。 この春には(たぶん日本のスキー場では初めて!)八方尾根スキー場にSDGsを専任する部署が設けられ、来たるウインターシーズンにはHAKUBAのスキー場における再エネへの切り替えの動きが昨年以上に広がっていきそうです。 白馬八方尾根スキー場のアルペンクワッドリフトでは、2020年2月より通年で「CO2フリーメニュー」を適用し、CO2ゼロで運行中。 エイブル白馬五竜で行われた従業員向け勉強会。 そして、2020年春。コロナ禍で大変な時期にも、さらなる変化に繋がりそうな二つの会議が現在進行中で開催されていて、光栄なことにPOWも委員の一員として参加させていただいています。 一つは、大町市、白馬村、小谷村の三市町村の観光に携わる地域連携DMOである『HAKUBA VALLEY TOURISM(HVT)内のSDGs委員会』。この委員会ではHAKUBA VALLEY内の行政やスキー場、宿や飲食店などがエコツーリズムの実践の場として、それぞれの業種でできるSDGsの取り組みを検討しています。POWは当初、スキー場の気候変動対策を後押しすることを一番の目的に参加していました。しかし、エリア全体が持続可能な自然環境、社会を目指す動きは、そこで暮らす人々が豊かさを感じ、魅力的な観光地としてあり続けるためにも求められるチャレンジです。そういった意味では、気候変動の問題だけにとらわれず(それにSDGsの17の目標の多くは、気候変動に関連する内容です!)、この取り組みの着実な成果を出すために貢献したいと考えています。 もう一つは、『白馬村再生可能エネルギーに関する基本方針等連絡協議会設立準備会』です。とっても長い名前なのですが、簡単に言うと、昨年末に白馬村が出した気候非常事態宣言をいかに具現化していくか、再生可能エネルギーをどう位置付けていくかを検討する委員会です。気候変動の主要因となっているCO2の排出を減らすために、再生可能エネルギーは欠かせないツールではありますが、「白馬村に適している(または、市民に受け入れられる)エネルギー源は何なのか」「豊かな自然環境と共存できるのか」「気候変動対策と同時に地域内の経済循環に繋がる仕組みは?」など、様々な切り口から村内の再生可能エネルギーのポテンシャルを他の委員のみなさまと検討していきます。 HAKUBAではこのように行政、企業、市民団体や学生が連携しながら、地域の脱炭素化を推し進めるプロセスがはじまっています。POWはこれらの動きに伴走しながら、ここで得た知識や経験を、他のスノーリゾートや自治体にも活かしていきたい、そんな風に考えています。 そして、徐々にではありますが、この取り組みの横展開に向けて、北海道や長野、新潟、群馬、岐阜などのスノータウンの方々とも意見交換や企画検討を進めています。 冬を守るために、行動を起こす。そして、さらには地域を変える。 そんな思いある全国の滑り手の活動をサポートができるように、まずは白馬からモデルケースを作っていきます。

ショップオーナーに聞く! 「 Loyle(新潟県・六日町)」

ショップオーナーに聞く! 「Hair Salon Loyle(新潟県・南魚沼)」 Kenji Kato Retail Programにご参加いただいている新潟県の美容室「Loyle」さんにお邪魔して、ショップオーナーの堀口さんにインタビューをさせてもらいました! まずはお店の紹介をお願いします。 南魚沼市の六日町にあります、美容室Loyleといいます。オープンして今年の6月の末で10年になりますね。元々1人で始めたお店で、今は3人でやってます。美容学校を卒業して、他の美容室で修行して、独立するタイミングでこの地元で開業しました。地元でお店を開きたかったのもあるのですが、何よりスノーボードが好きで、滑れる環境に身を置くためにも地元に戻ってきました。それが強いですね。 じゃあ昔からずっと地元で滑ってきたんですね? そうですね、中学生からずっとです。同級生にもプロスノーボーダーがいますね。石打や湯沢を滑っています。今はお店もあるんで、休みの日に滑りに行く感じですね。 POWを知ったきっかけは? それがですね、地元のショップだったのか、DIGGIN’ MAGAZINEだったのか、はっきりとは覚えていないのですが、ホームページに行き着きました。今年は特に雪が降らなくて、お店のお客さんともそんな会話が多かったですね。このままではヤバイだろう、そう思っていたらアンテナに引っかかりました。何かできることがあるだろうと思い、サポーターになりました。僕自身、力になれるなら賛同しようと、自然な流れで。 活動をご支援いただき、ありがとうございます。 たしかに、美容師さんはお客さんと話す時間も長いですもんね そうですね、「雪少ないよね」って、なんとなく暗いイメージで会話が終わってしまうのも、なんだかなぁ、と。だからPOWは話のネタというか、お客さんとの会話のテーマにもなれます。賛同してくれる方も多いですね。 お客さんも滑り手が多いですか? そうですね。スノーボーダーやスキーヤー、あとはスキー場関係者も多いです。除雪のお仕事をしている人もいますね。雪で生計を立てている人ばかりですよ。 店内の作業台にステッカーを貼ってくださっていました! POW Retail Programを知ったきっかけは? ホームページを見ていて、団体の活動内容を見ていたときに、このプログラムのことを知りました。 このプログラムに参加いただいてから、お客さんとの会話の中で何か変化はありましたか? 「そのステッカーなんですか?」と聞かれて、POWの話をしたり、雪不足の話題から「こんな団体ありますよ」なんて感じでご案内出来ていますね。いい話が出来ていて、自分の中でも動けているなと感じています。きっかけも掴みやすいし、伝えれているって思います。 環境の話って、話題にするのにちょっと勇気がいりますもんね。 話しやすくなりますね。確かに。 お客さんの反応はどうですか? POWの事を知ってるっていう人も結構いますね。意外な人が団体の事を知っていたり、少なからずともみんな興味があるんですね。 「意外な人が関心を持っていた」って、どんな方ですか? 僕よりもかなり年上の方で、スキー場のパトロールをしている方です。かなり前からPOWの事を知っていたらしくて、本人も何か協力したいと思っていたみたいです。その方だけでもステッカーを10枚ぐらい買ってくれました。仲間に配りたいって言ってました。あとはステッカーを見て知ってる人も多いですね。何かのブランドだと思っていたみたいです。 普段の生活で二酸化炭素を出さないなど、何か心掛けていることってありますか? それが実際出来ていないんですよ。美容室をやっている上で、どれぐらいの環境影響があるか調べてみたりしたんですけど、何かを省いたら営業が難しくなってしまうものばかりで。それもあって、自分で何か出来ないかなと思い、プログラムに参加したところもあります。 雪が少ないことで、地域にインパクトはありますか? やはりお客さんが少なくなりますね。美容室自体も、客足はゆっくりです。やはり経済そのものが回らなくなるんですね。雪の影響がデカいなと感じます。生かされていたんだと、今年は強く感じました。 今後お店から発信していきたいことはありますか? 雪が無くなっちゃうかもしれないと、他人事みたいな感覚がある中で、もっと皆さんに危機感を持ってもらいたいところはありますね。 今日はありがとうございました。今後もよろしくお願いします。 「ありがとうございました!」 オーナーの堀口さん、Loyleの皆さま、お忙しいなかお時間をいただきありがとうございました! 全国各地に仲間が増えていく、そのきっかけを作ってくださるのが、このRetail Programに参加しているショップのみなさま。 ご協力にいただき本当にありがとうございます。

「再エネへの切り替え」が「考え、話しあい、決めていく」のきっかけになることを願って

「再エネへの切り替え」が「考え、話しあい、決めていく」のきっかけになることを願って Goro Komatsu 「Change is POWer」キャンペーンに参加してくださったり、関心を寄せてくださりありがとうございます。 POWがなぜ電力会社みたいに電気の切り替えを宣伝しているか、それは私たちが日常的に使用する電気を発電する際に排出されるCO2が気候変動と大きく関わっているから(詳細はWEBページをご覧いただけたら嬉しいです)。私たち一人ひとりが再エネに切り替えることで、CO2の削減に大きなインパクトを与え、それが日本の電力事情に変化をもたらすチャンスになるかもしれません。 インパクトがあって、とても簡単にできるアクションだからこそ、皆さんにやってみてほしい、そういう願いを込めて、パートナー企業のサポートを受けて、今回のキャンペーンをしています。 しかし、再生可能エネルギーにも課題はあります。 実際に、このキャンペーンに多くの方が賛同してくださった一方で、否定的な意見もいただいています。 再エネへの切り替えを勧めている私たち POW も、再エネに関連する課題を認めています。山を切り開いて作られるメガソーラー、山や丘、海岸などに並ぶ巨大風車の影には、人々の生活や想いがあり、自然環境があります。大きく見れば「良いもの」と考えられるものでも、その細部を見るとそれが「脅威」となっている側面にも目を向けなければなりません。自然の風景やライフスタイルを愛し生きる者として、その想いは十分に理解できるものです。 とはいえ、現代のライフスタイルに電気は必要、というのもまた事実です。 電気無しで生きることが「絶対に無理」とは言いませんが、社会全体が目指す姿にはなり得ないでしょう。しかし、減らせる部分は確実にあります(日本では特に)。電気に限らず、様々な無駄をなくしていくための努力は、間違いなく必要です。 それでも、ある程度のエネルギーはなんらかの形で用意しなければならない。 じゃあ原子力発電所を新たに作ろう、となったらおそらく多くの人は反対します。原発事故の悲しさは、もはやほとんどの人が知っているはず。それでも新設するとなれば「電気を作るため」以外の理由が何かあるのかと疑ってしまうほどです。 では、石炭・天然ガスによる火力発電所はどうでしょうか?原子力のような恐ろしさとは異なるものの、それらが大気や気候に他の何よりも影響を与えているとしたら、廃止に向けて動き出すべきです。 生態系を壊し、川の姿を大きく変える「ダム」にも課題が多く、ダムをこれ以上増やしていくことは賢い選択肢とはいえません。 エネルギー問題は、本当に難しい問題です。出来ることなら考えないでいたい、というのが本音かもしれません。 しかし、毎日使う、文字通り私たちの生活を「支えている」ものだからこそ、本来はしっかり考えるべきなのです。福島第一原発事故、気候危機が原因とされる気象災害や雪の降りかたの変化、何十年も続くダム問題、そして、再生可能エネルギーについても。。 今回のキャンペーンを通して提案している再生可能エネルギーも、細部に目をやると現段階では完璧な答えではありません。気候危機の時代に対応する技術として世界各地で広まっていますが、なかには自然のことなど全く考えていない人や会社によって扱われているケースも実際にはあります。だからこそ、目を向けてほしい。しっかりと考えてほしい。 自然環境や周辺住民の暮らしと調和できているのか?、 この場所でいい?より良い形は? 自分や地域で自給できないだろうか? 再エネは脱炭素社会を目指すうえでは欠かせない存在で、大きな可能性を持っています。 その可能性を活かしたい。 再生可能エネルギーを選ぶ人が増えれば、そこに目を向ける人も増え、より良い形を実現する力が高まっていきます。 このキャンペーンをきっかけに切り替えてくれた皆さん、考えてくれた皆さん、やっぱり反対の皆さん、ぜひ一歩進んで、自分が使っているもの、選ぶものの背景や、そこで起きていることを知ってみてください。 そして、みんなで考える、話し合い、決められるようになる。今回のキャンペーンがそんなきっかけであることを願っています。    私たち一人一人の変化は「小さな力」でしかありませんが、同じように、「大きな力」に見えるものもその小さな力に支えられていることを、忘れないでください。 最後まで読んでくれてありがとうございます。 POW Japan 代表 小松吾郎

電力をより身近な存在に

電力をより身近な存在に Riki Nakajima 今日のご飯は何にしよう。 家の近所の魚屋さん、豆腐屋さん。 店の大将や女将さんとのやりとり。 野菜の直売所で生産者さんから直接野菜を買う。 小さな町の商店で食材を選ぶ楽しみ。 そんな感覚で電気も選びたい。 我が家では、それぞれの電力生産者さんの顔を見て、電気を買うことができる“みんな電力”さんから電気を買っている。できるだけ地産地消を実践したいので、県内で耕作放棄地を活用し、ソーラーシェアリングをしながら日本の農業の危機的時状態を下支えにすることで地域振興を進めるという活動をされている発電所を応援している。 応援先の発電所を実際に見学。実際の農業や発電のお話も聞かせていただきました。 日本では農業だけで生計を成り立たせるのは非常に難しい状態に追い込まれ、廃業や転職を迫られる農家さん、耕作放棄地が増えている。そこで田畑の上を発電所としても有効活用し、利益を生み出す。農業と発電という2本の柱で運用することは理にかなっている。これを普及させることができれば売電で得られる利益を下支えに、日本の農業は衰退から一転させることができるはず。そんな信念を持って活動されている発電所。 応援先発電所の原点。ここからソーラーシェアリングの試みが始まりました。下では自然栽培で里芋が育てられています。 しかもこの発電所さんを応援することで半年に1度、そこで取れたみかんのジュースを送ってきてくれる。電気の生産者の顔が見えれば、電線から我が家に流れ込む無味な電力にも親近感が持てる。なんだかワクワクする。そして、(ほとんどの場合は)電気料金も安くなる。 多くの想いを持って立ち上げられた発電所が各地に存在する。そういった想いに電気料金という形で応援する意思を示す。その意思がさらなる再生可能エネルギーの拡充を推し進める。 自然栽培で育てたお米は地元の酒造に持ち込んでお酒にもするそうです。田んぼでのソーラーシェアリングはまだ多くありません。 先日実家に帰った時に、僕の実家の電力も再エネに移行してきた。全くパソコンの触れない母はスマートフォンの扱いも怪しくネット経由での契約変更は難しく、一から全てを説明し、一から手続きの処理をしてあげなければいけなかった。 高齢者が人口の半数以上となっている社会的な現状、そして多くの場合そういった方々が家庭や会社における意思決定権を多く持っている現状。「原発反対!」「これからは再生可能エネルギーだろ!」と思っている人が多いはずなのに、社会が一気に動いていかない理由がここにひとつあると感じた。 まだ変えていない友人や家族に直接、自分の言葉で伝えて、知ってもらう。そして、自分では変更が難しいという人がいたら、面倒でも移行の手助けをしてあげる。ぜひそこまで関わってあげてほしい。そうすることで社会が変わる。そう強く感じている。 Take Action♪ Change is POWer 選ぼう、自然のエネルギー 再エネ切り替えキャンペーン実施中(7/3~7/31)! 詳細はキャンペーンページをチェック。 キャンペーンページを見る

「買う」というストーリー

「買う」というストーリー Goro Komatsu 先日、POW Japan の事務局で使うコンピューターを購入しました。 会計用ということで、それほど高いスペックのものは必要ないのですが、個人所有のマシンを使用するのは適切ではないのと、POW Japan を手伝ってくれている会計事務所が推薦するソフトを使うには(経理担当者が所有する)Mac ではなく Windows マシンが必要だったのと、引き継ぎの時のことなども考え、専用のものを購入することになりました。 さて、いざ買うとなっても、自分もずっと Mac だったので、 Windows マシンのことはほとんどわかりません。ざっくり市場を覗いた後、思い出したのは、数週間前に SNS で見た、元 Patagonia 日本支社長の 辻井隆行さんの投稿。それは、企業が廃品にする電子機器などを買い取り、新品同様に整備して販売するピープルポートと言う会社のお話でした。紛争や迫害を理由に日本に逃れて来た難民の方々にトレーニングを提供し、彼(女)らの手で整備され、新たな命を吹き込まれた製品を販売する取り組みだそうです。 社会環境負荷が低くない「コンピューター」をリユーズするだけでも意味があるのに、それをもう一歩、いや、もう一歩以上進めるなんて。本当に素晴らしい取り組みです。と言うことで早速、辻井さんに連絡を取り、繋いでもらいました。新型コロナウイルスでいつも以上に忙しい状況の中、代表の青山さん自ら対応してくださり、こちらの条件を細かいところまでお話して、ちょうどいいものを選んでもらいました。クリーンされたのち、新品のバッテリーが入れられたマシンは、必要なソフトウェアがインストールされ、POW Japan 事務局に届きました。箱を開けると、心機一転間違いなく、 POW Japan のために活躍してくれるであろうコンピューターと納品書、そして、なんと代表青山さん直筆の手紙が入っていました。手紙には、直してくれた(難民の)方の写真、そして「こう言う団体で使われるんだよ」と伝えてくれたエピソード、彼らもそれを喜んでいる、と言うメッセージが書かれていました。 Photo: POW事務局に届いたPC。これからどうぞよろしくね! 正直、コンピューターを買うのは何回目かわかりませんが、こんな感動は初めてでした。それは、すごいマシンを得て感動しているのとは、また別の次元の、心に残る、暖かい、感動でした。普段から「買い物は買い方、買う場所を選ぶと全然ストーリーが変わるんだよ。」と伝えていた中3の長女にこの話を紹介すると、彼女も感動していました。 青山さん、本当にありがとうございます。繋いでくれた 辻井さんにも感謝です。 もう、次買う機会があったら(しばらくないけど)絶対ここでお願いしよう、と思っています。 長文読んでいただきありがとうございます。 気持ちいい。 ピープルポート https://peopleport.jp/

気候ネットワーク

気候ネットワーク Goro Komatsu 「気候ネットワーク」と言う団体をご存知でしょうか? 気候変動問題に関心を持っている方なら、どこかで聞いたこと、見たことがあるかも知れません。「気候ネットワーク」は1997年に京都で開催されたCOP3(気候変動枠組条約第3回締約国会議)で京都議定書が採択されたことをきっかけに、1998年に(当時はその前身である「気候フォーラム」という名前で)発足しました。当時は今と比べ、気候変動問題は、国連や政府が取り組むような「大きな問題」「遠い問題」と捉えられていた時代でしたが、大きな問題を解決するには私たち一人一人がその現実を理解し、行動を変化させる必要がある。ということを、より広く社会に伝える役割をいち早く担ってきた、いわば「市民目線」で気候変動問題解決に取り組む日本を代表する団体です。 実は私たち POW Japan も、立ち上げ時点から「気候ネットワーク」さんとのご縁をいただき、様々なことを学ばせていただいています。活動の範囲も、団体としての規模や経歴も、比べ物にならない、大先輩といえるこの団体が発信している様々な情報は(ちょっとレベルは高目ですが)、気候変動問題に対する日本や世界の取り組みを知る上でとても参考になります。もう一歩先の情報を得たい、より深く知りたいという人は、ぜひ「気候ネットワーク」の活動をフォローすることをお勧めいたします。 さて、このタイミングで「気候ネットワーク」を紹介した理由なんですが、実は私(POW Japan 代表小松吾郎)、この「気候ネットワーク」のニュースレター「気候ネットワーク通信」の最新号(2020年5月号)に、特別寄稿として1ページを頂き、スノーコミュニティー(雪文化圏)が感じている気候変動の今を「いま、雪の未来のために」と題して書かせていただいた、のです。活動の先駆者の方々やそのフォロワーの方々が読まれているであろうこの通信への寄稿は、正直、断りたいくらいのプレッシャーを(勝手に)感じていたのですが、そういった場に自分たちの存在を知ってもらういい機会ですし、背伸びしても背は伸びない。ということでお受けさせていただくことにしました。 今年は記録的な少雪シーズンだったということもあり、多くの方が感じたであろう冬の異変と、その事実がスノーコミュニティーにもたらしている影響について、ちょっとだけマニアックな雪山の話を書かせていただききました。反対に、POW のムーブメントをご存知のみなさんには、それほど特別な情報ではないかも知れませんが、よろしかったら読んでみてください。 そしてぜひ、この機会に「気候ネットワーク」のフォロー&サポートを重ねてお願いします。 ありがとうございます。

ニセコ町訪問 ~環境モデル都市アクションプラン~

ニセコ町訪問 ~環境モデル都市アクションプラン~ 2月、POW Japanは環境モデル都市に選定されたニセコ町を訪問してきました。その目的は、環境モデル都市に選定されて環境と経済の両軸で持続可能な町を目指してアクションプランを進めているニセコ町役場の担当者の方にお会いし、ニセコ町の状況の把握や意見交換を行うこと。今回のブログでは、持続可能な街づくりをしている自治体のアクションを知り、それを滑り手が応援する、さらには各滑り手のローカルでも取り組みの参考になることを願って、訪問の様子をレポートします。 ニセコを訪問したのは2月末。ニセコエリアも例に漏れず小雪の影響を受けており、晴れ間には道路が乾燥していた。滞在中は比較的気温が低く、少量の降雪もあり軽くドライで上質な雪を楽しむことができた。パウダーデイにはならなかったが、雪崩管理されつつも広大な非圧雪エリアは非常に魅力的なスノーリゾートで国内外からこの地を目指す理由が良くわかる。しかし今シーズンは小雪に加えて新型コロナウィルスの影響もあり、海外からの旅行客が少ない印象だった。 町役場の方とお会いする前に、ニセコエリアを少し周ってみた。ご存じの通り、最も開発が進んでいるのはニセコ町のお隣になる倶知安町のグランヒラフ山麓ベース周辺と倶知安駅周辺。碁盤目状に整備された区画に所狭しと建物が建っておりグランヒラフのベースにはマンションのような大きなホテル群に圧倒される。幼少期を倶知安町で過ごしたPOW Japan代表の小松吾郎によると、昔は隣の家との距離がありその間には森が続いていたという。その後、年々増加するゲストを受入れるために広範囲にわたる開発が進んだそうだ。ニセコ町も倶知安町ほどではないがやはり開発が進んでいて、不動産情報誌に掲載されている値段は桁一つ多い感じ、自分は「お呼びでない」なんて感じてしまった(笑)。 ニセコ町役場訪問 ニセコ町の基幹産業は農業と観光業で、冬季は世界に誇る雪質と大規模スノーリゾートで国内外から多くの観光客が訪れ、夏季も体験型アウトドアスポーツが盛んだ。町の政策としては、前述の2大産業を支えるのは「環境」であることから、持続可能なまちづくりに力を入れており、国からも2014年に「環境モデル都市」に、2018年に「SDGs未来都市」に選定されている。また、2001年に、全国で初めて「町の憲法」といわれる自治基本条例「まちづくり基本条例」を制定し、「住民参加」と「情報共有」を柱とし、「相互扶助」によるまちづくりを推進。人口は5000人程度で、多くの市町村が人口減少する中で2000年以降、子育て世代やリタイヤ後の移住者などによって増加傾向にある。 ニセコ町役場でお会いしたのは、環境モデル都市を推進担当のお二人。そしてPOW Japanパートナーであり、ニセコエリアでスノースクールを主宰するFar East Snow Sportsから3名も同行してもらった。彼らはニセコエリアで自主的に環境関連映画の上映会や、環境ミーティングを開催している熱い想いを持ったメンバーだ。 環境モデル都市の動き ニセコ町では2014年から、「2050年までにCO2排出量を86%までに低減する」というかなり野心的な目標を立ててスタート。2014~2016年第1次環境モデル都市アクションプランとして、ニセコこども館省エネ建築工事、地中熱ヒートポンプ導入、町民エコ運動を実施。しかし、人口・観光客、開発が増加により温室効果ガス排出量の増加圧力が高まる一方という状況で、目標を達成するためにアクションプランの見直しが必要となった。そこで専門的な事業者を公募し、ドイツ在住で環境ジャーナリスト・環境コンサルタントの村上敦氏が代表を務めるクラブヴォーバンに再策定を委託。住民との対話、ニセコ町の将来像の絵巻作りなどを経て、画期的な第2次環境モデル都市アクションプランが出来上がった(クラブヴォーバンによる温暖化対策計画の策定と背景はこちらも参照ください)。次に、2019年からはスタートとした第2次環境モデル都市アクションプランをご紹介する。 <建築関連> 超省エネの役場新庁舎建設:域外へ流出するエネルギーコストを最小化するために、まずは役場新庁舎を次世代の超断熱仕様で建設中。トリプルガラス内側樹脂サッシ、約20cm厚の断熱材などにより、断熱性能は外皮平均熱貫流率Ua値0.18(北海道の推奨値は0.4)という驚く値!高断熱は外からの熱の出入りを小さくするため、館内の冷暖房にかかるエネルギーを通年で削減することができる。設備面ではLPGコジェネレーションシステム(発電しながら無駄なく熱を再利用するシステム)、屋根に太陽光パネルスペースを準備(後述する市民主導の再エネ事業に使ってもらう計画)。 コジェネは、使い始め時期はLPGを使用して発電するそうだが、将来予測されている人口減少時期には再生可能エネルギーが余ることも見通されており、その余剰電力で作った水素を発電のエネルギー源に使うことが想定されている。(まず設備を作っておいて、将来的に化石燃料ではないエネルギー源に移行ができる準備) NISEKO生活モデル地区: 当面の人口増加圧力に伴う住宅不足を解消しながら、生活の低炭素化を実現するために、環境配慮型集合住宅の建設を進める施策。高断熱の集合住宅はエネルギー消費削減だけでなく、高齢者に多くなるヒートショック対策にもなる。 工区を分割して段階的に開発することにより世代が偏らないように工夫されており、暮らす人の健康とコミュニティーの持続性もあわせて「住みたい」と思えるモデル地区構想になっていた。 <エネルギー関連> NISEKO生活モデル地区の開発・運営とエネルギー事業を行うまちづくり会社を設立し、省エネと地域経済循環を高める。再生可能エネルギーもメガソーラーなどの乱立防止と町民主導型の事業を優遇して町民出資を促進する仕組みを目指し公共施設の屋根スペースなどの提供も行う。地産地消の再生可能エネルギーへのシフトは、資金面においても「域外への流出」から「域内の循環」へシフトし地域経済の活性にもつながる最も良いエネルギーの形ですね。これが実現すると大きな前進であり、他の自治体にも広がる期待感でワクワクします。 <移動関連> 地方都市ではやはり自動車依存が高く、ニセコ町において「移動」は観光・サービス業に次いで2番目に温暖化ガス排出割合が多いセクター。クラブヴォーバンによると、生活に必要な施設が近いエリアの集合住宅には高齢者に入居してもらい、車移動が可能な若い世代の移住者には郊外の空いた家を提供する形も検討されていた。生活圏の距離が短くなることで徒歩や自転車利用を促進し、健康増進と移動時の温室効果ガス排出低減につなげる。グリーンシーズンの体験型の観光立地の強化にもつながる。 また人が集まって住む生活モデル地区の整備が進むと公共交通の利用率向上にもつながる。地方都市でありがちな、居住区が分散しているために潤うバス路線が少なく、結果としてバス本数が少なく利用者が減る悪循環を解決する形だ。 バスの利便性を高め、将来的にはEVバスを導入して更なる移動セクターの温室効果ガス排出低減が考えられている。 <事業活動の低炭素化とインセンティブ(新税導入)> ニセコ町の温室効果ガス排出量1位の「観光・サービス業」セクターに対しては、省エネ推進する意思のある事業者と協定を結び優先的にインセンティブを提供することで、低炭素化と事業者のコストメリットの両輪を目指す。財源としては新税(仮:宿泊税)の導入が検討されている。その税収を財源に宿泊施設の窓を断熱効果の高い窓へ交換することなどに充てることで、空調に費やす費用・エネルギーを削減できる。目的が明確で、且つ事業者と環境に還元される良い仕組みではないか。 質疑応答では、Far East Snow Sportsメンバーからも食関連、プラスチックゴミ問題、開発による森林減少に対する危機感など地元に関わる環境問題を幅広く意見交換させていただいた。環境問題には幅広く課題があるが対話から見えてきたのは、限られたリソースの中で気候変動問題の解決に向けて最優先と考えられる温室効果ガス排出量の削減にフォーカスしているニセコ町の姿。環境モデル都市として国から選定を受け、専門機関が入り、気候変動問題の解決に向けて最優先と考えられるCO2排出量の削減に向けて2030年までに44%削減、2050年までに86%削減するという大きな目標に向かって現実路線で動き始めている先進事例であることは間違いない。 そしてそれが日本屈指のスノーフィールドの地で進んでいる。我々滑り手はまずしっかりとその取り組み内容を知り、応援し、さらには関わっていくことが大切だと思う。これからのニセコ町の動きが楽しみであり、全国のスノータウンに波及していくことになれば最高にエキサイティングだ。 (参考) ・ニセコ町Web Site / 環境モデル都市 ・広報ニセコ 2020年2月 (特集:ニセコ町の未来をつくる 環境モデル都市アクションプラン)

環境から考える断熱の必要性

環境から考える断熱の必要性 家の断熱に関するセミナー聴いてきました。 東北芸術工科大学・環境デザイン学科教授、エネルギーまちづくり社・代表取締役、みかんぐみ・共同代表、一般社団法人パッシブハウスジャパン・理事でいらっしゃる竹内昌義氏によるトーク。断熱ワークショップなども開催し、あったかリフォームも手掛けられています。 10/6に開催したソーラーイベントの中でも少し触れられていましたが、家の断熱性能を上げることは家庭でのエネルギー消費を減らすと同時に、夏も冬も快適な生活を手に入れられるいい事ずくめのアクション。 「日本の家は寒い」その理由は日本の住まいの約40%が「無断熱」、37%が昭和55年基準と断熱性能が低い建物だからだそうです。断熱していないということはダウンなどインサレーションを着ないで雪山に行くのと同じ、と考えるとありえない気がしちゃいますね。。 一方でパッシブハウスと呼ばれる高断熱の家になると日中の太陽熱で温まっただけで暖房がほぼ不要。断熱層は壁30cm、天井45cmもあります。もう全身ダウンで4シーズンシェラフに入ったような状態。 でも寒い家にもダウンを着せればいいのです。家の場合は主にグラスウールやスタイロフォームでできた断熱材になりますが、施工技術は難しいことなく、断熱材も高くありません。また家全体ではなくても、エリアを限るとさらに低コストでできます。更にお手軽エコ改修方法として、熱の出入りが最も大きい窓に、ハニカム構造で空気層(断熱層になる)を持つスクリーンカーテンをつける、隙間風をシャットする隙間テープを貼る。これだけでも違うようです。 冬を前に住まいのレイヤリングも考えてみてもいいかも知れませんね!

雪国での屋根ソーラーパネル設置の可能性 ~エネルギーシフトで冬を守る~

雪国での屋根ソーラーパネル設置の可能性 ~エネルギーシフトで冬を守る~ ここ数年、毎年異常気象という言葉をニュースで耳にするようになってきた。今年は大型の台風15, 19号が日本上陸し、特に19号は上陸前に最大カテゴリー5まで発達した後、広範囲で河川の氾濫による水害被害をもたらした。産業革命が起きた1980年代以降、地球の平均気温は約1℃上昇した。今のままでは2050年までに3℃上昇すると言われており異常気象がさらに増えることは明白だ。 今回はPOWのアクションリストにも挙げているエネルギーシフトの一つの手段であるソーラーパネル発電に関するイベントを開催した。なぜエネルギーシフトが重要か?その理由は、地球温暖化の原因となっている温室効果ガス排出の原因の約7割が石炭・石油・天然ガスといった化石燃料の燃焼に起因しており、更にそのうちの3割が電気と熱を作るためであり最も温室効果ガス排出割合が大きいからだ。そのため原発を除く再生可能エネルギー(もしくは自然エネルギー)を増やし、脱化石燃料が温室効果ガス排出の減らす効果的な対策の一つになる。 本イベントは5月に開催した「気候変動&地域経済シンポジウム」の続編という位置づけになる。先のシンポジウムでエネルギーシフトの手段として太陽光発電に触れ、皆様に協力いただいたアンケートでも再生可能エネルギーについてもっと知りたい、ソーラーパネルを増やすといった意見をいただいた。一方でソーラーパネルは製造から廃棄までのライフサイクルの中で本当に環境負荷が少ないのか?自然の景観を害してしまうという意見もみられた。そこで、ソーラーパネル発電に関するモヤモヤを解消してみよう、滑り手が住んでいる雪国でのソーラーパネル設置の可能性を探ってみよう、という想いでイベントを企画した。シンポジウムを共催した自然エネルギー信州ネット事務局長の浅輪剛志氏に司会を務めていただき、ノンフィクション作家で映画“おだやかな革命”のアドバイザーである高橋真樹氏と、信州中野を拠点に積雪地域でもソーラーパネル設置の経験が豊富なシバクサ電器代表取締役で新エネルギー革命会理事も務めておられる丸山浩司氏とのトーク形式で行った。自然エネルギー全般に精通した高橋氏からは気候変動問題の話から再生可能エネルギーについて広く触れたのちソーラーパネル発電のメリット、デメリット、そして環境負荷についてお話いただいた。丸山氏には雪国での可能性について、現場目線でのお話と設置を検討している方を対象に個別相談にも対応いただいた。 気候変動についてはいろいろとお話いただいたが、NHKが制作した「2050年の天気予報」というインパクトある動画を見たので紹介したい。これは2014年の科学データを使って2015年に制作されたものです。現在のペースでCO2を排出した場合に、真夏日連続50日、京都の紅葉がクリスマス頃、スーパー台風の襲来などが予測される現象として描かれている。また世界中で起こりうる氷河融解、海面上昇、干ばつ等による食料不足、難民増加など約6分半に予想される将来が上手くまとめられている。 https://www.youtube.com/watch?v=NCqVbJwmyuo このような未来にしないためにもパリ協定の目標である産業革命前からの地球気温上昇を2℃より低く保つ、1.5℃以下に抑える努力をしなければならない。この目標を達成するにはもうほとんど化石燃料を燃やすことができないレベルと言われており、すぐにでも自然エネルギーへの転換が必要だ。  少し本題から逸れるがエネルギーシフトと同時にエネルギー使用量を減らすことの重要性にも触れられたので紹介する。皆さんの中にも家庭で省エネに取り組んでおられる方がいると思うが、ちょっと暑かったり、寒かったりしても我慢していないだろうか?私も冬は上下ダウン着て過ごせば寒くない、と我慢系省エネをしている。今回紹介されたのは家の断熱を高めることであった。日本の住宅の95%は断熱性能が国際レベルに達しておらず、エアコンやヒーターをガンガン使用しても熱が外に逃げ、エネルギーを捨てていることになっているという。高橋氏はモデルハウスだった断熱ハウスを購入して住みながらレポートをされている(高橋さん家のKOEDO低燃費生活 http://koedo-home.com)。夏も冬もおだやかにエアコンを使用するだけで快適且つエネルギー消費が低い生活が手に入ったそうだ。これから家を建てる方は、初期コストはかかるが高断熱の家を選んではどうでしょう?また断熱リフォームも効果が高い。自治体によっては断熱リフォームに補助金を出してくれるところもあるので利用しない手はない。 高橋真樹氏 さて、自然エネルギーを増やすことは重要であるが、ただ増やせばよいということでもないようだ。一つ目の例では自治体が補助金を使って建設した風力発電が台風で破損して使用できなくなった。二つ目の例では山肌を削ってソーラーパネルを設置しているが、パネルの並びも整然としていないため景観も悪く、大雨が降れば土砂崩れで流れされてしまいそうな設置方法であった。FIT制度によって自然エネルギーが増えたのは良いが、政治的アピールや、利益最優先で作った施設が環境や景観を損ねている場合があることで自然エネルギーに対して悪いイメージを持つ人も出てくるだろう。未来も見据えて自然エネルギーを導入する目的が大切とのことだ。 では自然エネルギー先進国であるドイツや北欧はどのようにうまくいったのか?政府主導と思いがちだが、実は地域にあったらいいね、から始まりそれを政府が後押しする形であったよう。地域の人が自分たちの将来、次世代に環境を残したいという想いから少しずつ増やして、結果的に社会全体がエネルギーシフトできることにつながった。日本でも同じような動きは生まれている。高橋氏がアドバイザーを務めた映画おだやかな革命から福島県の会津電力の例を紹介いただいた。東日本大震災後、原発に頼らず地域の自立と循環型エネルギーを目的とし、豪雪地帯でもある会津においてソーラーパネル発電を成功させ雪国でも太陽光発電をできることを証明した。当初は実績もなく金融機関の融資が得られなかったが、自分たちでパネルの設置角度、あらゆる気象条件下でデータをとり十分な採算性を証明し融資を取り付けた素晴らしい前例だ。 一方で、自然エネルギーをもっと上手に活用する政策・制度の整備が必要そうだ。例えば九州ではメガソーラーが集中しており一気に電気が流れて送電容量いっぱいになることがあるらしい。そんな状況の中でも原発が再稼働時のために送電容量を空けており、容量が余っているにも関わらず電気を送電網に接続できない仕組みになっている。これは日本では原発や大規模な石炭・石油火力がベース電源として優先され、自然エネルギーによって発電された電気は気象条件等で発電量に変動があるため、送電網にとって邪魔者扱いされているからだ。確かに自然エネルギー発電は気象条件で変動してしまうが、ソーラーだけでなく、夜間でも発電できる風力や水力などをバランスよく調整することで変動は小さくできるようだ。邪魔者扱いするのではなく、自然エネルギーを上手く使うことに制度改革や技術開発に力を入れる方向に転換するべきだと考えさせられた。こういった政策・制度は一個人で変えられるものではないが、何もできないわけではない。「声を上げる」、「投票」という行為で変えることができる。エネルギー転換に力を入れている政党、政治家に投票しよう。 さて、ソーラーパネルのライフサイクルでの環境負荷はどうか?私もこの点は気にかかっていた一人だ。ソーラーパネル発電は設置後ほとんどCO2を排出しないため、製造時に出たCO2の排出量は1~2年でエネルギーコストがプラスに転換する。廃棄時にかかる環境負荷はどうか?ソーラーパネルは主にアルミフレーム、トップガラス、シリコンという比較的単純な構成かつ、容易にリサイクル可能な材料で作られている。実際にリサイクル現場も取材されており、分離・分解技術も高まってリサイクル手法が確立されている。被災して放置されたり、不法投棄されたりして悪いイメージを受けることもあるかもしれないが、これはソーラーパネルに限った話ではない。リサイクル可能なのでしっかりと回収、材料の再利用するルールをしっかりすればよい問題だ。また、ソーラーパネルは20年以上経過しても発電可能なことも実証され、リユース事業も現れているそうだ。しっかりとしたルールで運用されれば、思っていた以上に環境負荷は小さく、化石燃料を燃やす発電よりも良いことが分かった。 丸山浩司氏 それでは雪国でのソーラーパネル発電の可能性はどうだろう?丸山氏にシバクサ電器で実際に設置した積雪量の多い~少ない地域での発電量を紹介いただいた。日本でも有数の日照条件が良い東御市、積雪の多い飯綱市とその中間程度の日照条件となる中野市の3地域での比較だ。まず共通していたのはどの地域でも春~秋(3~11月)に年間発電量の約8割を発電していた。冬でも晴天率の高い東御市の12-2月の発電割合は20.5%、飯綱市の同期間では15.1%と降雪・積雪の影響で大きく発電割合が落ちることはなかった。年間の発電量は1kWあたり東御市:1,405kWh、中野市:1,383kWh、飯綱市:1,120kWh。ちなみ他の地域と比較すると、東京:1,173kWh、新潟:1,114kWh、大町市:1,343kWh、白馬村:1,261kWh、ドイツ:930kWh(比較地域の数値は太陽光発電1kWあたりの年間平均発電量を過去の日照データから計算したシミュレーション値、出典:ソーラークリニックhttp://www.jyuri.co.jp/solarclinic/calc.htm)となり、ソーラーパネル発電はあまり期待できないと思われた積雪地域の飯綱市や白馬村が、東京よりも平均発電量が多く十分なポテンシャルが示された。 雪国では積雪、落雪によるソーラーパネルの破損の懸念についても触れていただいた。屋根に設置する場合はパネルの支持点を多くとる必要があるようだ。お神輿を担ぐ際に10人よりも20人の方が楽なのと同じでパネルや屋根への負荷を分散して破損を避けられる。メーカーによってはパネルの裏側に補強バーを入れて積雪2メートルまで耐えられるパネルもあるそうだ。またパネル間の隙間なしや、隙間を埋めるスペーサーを用意しているメーカーもある。パネルの隙間がないほうがパネルの上に積もった雪が落ちやすく、また引っ掛かった雪によってフレームが破損することを防げる。当然ながら勾配を大きくして設置すると雪が自然に落ちてくれて望ましいが、屋根に設置の場合はほぼ屋根の勾配と同程度の角度での設置となるそうだ。冬のメンテナンス、という点ではパネルに雪が積もったままでは発電しない、また軒先と地面が雪でつながるとパネルの下端に力が集中して破損につながるため、雪かきの必要がある。ただし、ソーラーパネルの表面はガラスで非常に滑りやすいため屋根に登っての除雪は危険なので、どうしても必要な場合は除雪専門に依頼してください、とのことでした。 雪国では積雪に対する備えが必要にはなるが、雪によって極端に発電量が落ちることはなく、また春~秋での年間の8割近くを発電するため十分に可能性があることが分かった。導入を検討される方は、地元など積雪地域で設置経験が豊富なお店に相談するとよさそうだ。賃貸住宅でソーラーパネルを設置できない方でも自然電力系の電力会社に契約を切り替える方法などがあるので、それぞれできる範囲でアクションを考えていくことも重要だ。 最後に、高橋真樹さんの言葉で印象に残った一言がある。 「目先の費用のために誰かに迷惑をかける社会をやめましょうよ!」 ふと、宇宙船地球号を思い出した。地球上の資源の有限性や資源の適切な使用について語るために地球を閉じた宇宙船に例えたもので、1963年にバックミンスター・フラーが提唱した概念だ。それから56年、我々は上手に地球号を操縦できているだろうか?一人ひとりが地球人として乗組員と船の安全を考えて行動したい。

“気候変動の今を知り、明日のために行動する。” Climate Reality Leadership Community Training

CLIMATE REALITY PROJECT 「気候変動」をキーワードにしたニュースの数がここ最近やっと増えてきた。Googleでキーワード検索をするだけでも、2ヶ月前とは比べ物にならない盛り上がりだ。先日ニューヨークで行われた国連気候行動サミット2019やスウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリによる目が覚めるようなメッセージ、世界の主要都市で多くの若者たちが立ち上がったグローバル気候ストライキ、そして小泉環境大臣の話題など日本国内のメディアで「環境」というトピックが旬を迎えている。しかしこれだけメディアが発信していても、直接的に気候変動の現状や緊急性を伝えるには不十分だ。 100年に一度、50年に一度、今世紀最大、観測史上最大、記録的な・・。いつの間にかこんなレア度を示すワードが説得力を失い、頻発する台風や上昇し続ける気温に「あら、またなのね。困ったわぁ」と変り続ける環境に周波数を合わせる生活。小さなコミュニティからでもいいから、もっと直接的に人々に気候変動の現実を伝える方法が必要だ。 アメリカ元副大統領であり、ノーベル平和賞を受賞した環境活動家のアル・ゴア氏が立ち上げた"Climate Reality Project"は、世界中の人々が一丸となって気候危機に対する解決策を考え、1人1人が行動するためのドアを開く非営利団体。過去10年に渡り、世界13カ国、計42回行われてきた“リーダーシップ・コミュニティ・トレーニング”では気候変動の現実と課題を自分たちのコミュニティや仲間に広める意思をもつ「リーダー」を育成し、その数は2万人以上にのぼる。 その世界的な43回目となるトレーニングプログラムが東京で初開催。10月頭、まだまだビーチサンダル気分だったPOW事務局のメンバーは足下を(ある程度)キッチリとした靴に履き替え東京に向かった。 会場となるグランドニッコー東京には国内外、18歳から86歳までの800名を超える参加者が集結。企業、政府、自治体からNPO/NGO、学生や一般市民にいたるまで参加者のバックグラウンドは様々。参加企業も金融関係からアウトドアブランドまでボーダーレス。ジャンルも年齢も国籍も問わない、気候危機に立ち向かう意思を持った者たちの人間交差点。普段味わえないような空気感に背筋がピッとなる気持ちはなかなか心地よいものだ。 ディナーショーを彷彿とさせる丸テーブルが敷き詰められた会場内に入り、同じテーブルを2日間に渡りシェアする参加者9名と自己紹介を交わす。WWFやピースボート、気象予報士、財団などメンバーは様々で、なかでも“日本キリバス協会”は特に印象的だった。この島国は温暖化により海面上昇が進むと海に沈んでしまうと言われている。 トレーニングの日程は2日間。初日は「知識を身につける」というテーマに沿って気候危機の現状を国際的な協定や目標から日本国内へとフォーカスし、行政、科学者、金融、企業、電力会社などの代表者を交え、パネルディスカッションを通して学ぶ。そしてこの日のハイライトは映画「不都合な真実」さながらのアル・ゴア氏によるプレゼンテーションだ。2006年にリリースされ、気候変動に対する世界的なムーヴメントの火付け役となったこの映画。まだ観たこと無いのであれば是非TSUTAYAへ走ろう。 初日行われた3回のパネルディスカッションの中で議題としてあがったのが、国内の気候変動対策で最大のカギを握ると言ってもよい「日本のエネルギー政策」についてだ。POW JAPANとしても力を入れているこのトピックについて、様々なフィールドで活躍する専門家からの貴重な意見が飛び交った。 ・火力発電に頼る日本のエネルギー政策には限界があり、出来る限り早い段階で脱炭素化を目指す動きが必要となる。 ・企業の多くは再生可能エネルギーへの転換を求めており、企業が価値を高めていく。 ・エネルギー制度の転換だけではなく、経済モデルやライフスタイルの転換も重要。 ・フードロスを考えた上での家畜の育て方。この課題には新しいビジネスチャンスが溢れている。 ・気候変動対策については反発する声が多いが、SDGsに関しては企業も行政も積極的。そこは正面突破の戦術ではなく、変化球も重要。 ・新しい技術を見出すのも大切だが、今ある現実を変えていく努力。 など、リストアップすればキリがない意見が盛りだくさん。日頃得ることの出来ない情報や事実を知る事で、危機感を使命感をより強く感じた。 1日目が終わり、お台場から滞在先の蒲田へと移動する。パンパンになった頭の中をビールでマッサージしながら、1日の出来事を事務局メンバー同士で語り合う。どうやら皆、だいぶインパクトのある日を過ごしたようだ。気がつけば雪山の話し。スキーの話し。スノーボードの話し。好き者たちが集まると、話しは尽きない。 2日目。蒲田駅周辺のオールナイト営業でくたびれたスナックの入り口に「朝定食」の看板を見つける。空腹に身を任せ、胃を満たす。何年ぶりかのラッシュアワーを乗り切り会場へ。山でのルートガイディングよりも、都会での乗り換えの方が難しい。 「知識を行動に変える」がこの日のテーマだ。社会に変化をもたらした企業や解決策を研究し続ける専門家を迎えてのパネルディスカッションは実にポジティブ。IKEAジャパンの代表取締役社長によるプレゼンテーションも交え、企業や金融機関が気候変動対策に対してのキープレイヤーであることが話し合われた。 その後トレーニングは実際のプレゼンテーションスキルを養うセッションへと移っていく。実際にプレゼンテーションをする際にスライドをカスタマイズする方法やリーダーシップコミュニティの役割を知り、「行動する原動力はどこから来るのか?」を考える。今回のトレーニングを形にするための、大事なスキルだ。日頃、気候変動や地球温暖化に意識を向けていない身の回りの人にどう話すか?POWがスタートしてから「伝える大切さ」を改めて実感した自分としては、今後の糧となるのは間違いない。 最後のパネルディスカッションが終わり、最後に修了書がそれぞれに配られると、それまでの会場内はポジティブ空気に包まれていく。2日間の充実した時間は800人の参加者を1つの目標へ向けて確実に動かし始めている。今回のトレーニングを通じて感じたことは、まだ日本にはやるべきタスクが山積みであると言うこと。ある人の話しでは5年以上遅れているという日本のエネルギー政策。気候行動サミットの中では世界77カ国が2050年までに温室効果ガスをゼロにする動きを見せている中で、日本は逆行している。その中でも再生可能エネルギーのコストは下がり続け、企業や金融機関の意識はポジティブに自然エネルギーへとシフトしている。気候変動の大きな原因は人間たちの行為によるもの。だからこそ、その原因を解決できるのも我々人間。残された時間が限られている中で、気候変動、いや気候危機と戦っていく闘志をさらに燃え上がらせてくれた。 トレーニングを共にした参加者たちは今後それぞれどのような活動をしていくのだろうか? ある人は舟の上で、ある人は母親や子供たちに向けて、ある人はクラスメイトへ、ある人は小さな島国の人々へ。そして僕たちは冬を守りたい滑り手たちへ。これからの未来がまた楽しみになってきた。