私たちにも、できること

Yukiko Komatsu

「雪が降ったら、絶対に一緒に滑ろう!」

それは河野由貴子と橋本通代がPOW JAPANのアンバサダーに加わってすぐに決めた私の小さな目標、ミッションでした。

リフトに乗れば、あの頃の話で盛り上がる私たち。

2人とはカナダのウィスラーで出会いました。独身時代は3人とも日本と海外を飛び回りそれぞれの活動をしている中でも、滑る時間やそれ以外の時間を共有し、毎回会えた時に聞く近況報告がとても楽しみでした。迷ったとき、行き詰まったときは彼女たちに常に支えてもらっていたし、2人を近くに感じることだけでもたくさんの刺激と学びをもらってきました。

「森の中は雪が良さそうじゃない?」みっちゃんの到着まで雪の状態をチェックする。
それにしても、最高の天気に恵まれた。

ふっと訪れた16年ぶりの再会、そして雪上でのセッションが決まったこの日。
「いってらっしゃい」と送り出してくれた家族にも、最高に恵まれた天気にも、心から感謝しながらゴンドラに乗り込み、カリカリのアイスバーンでさえも「やっばい!最高ーーーっっ!!」と叫びながら滑る私たち。数本、ゲレンデライドを楽しんだ後にアバランチセットを持って再スタート、いざふわふわの世界へ。

野沢温泉のローカル、河野由貴子が今日のガイド。
野沢温泉スキー場のこと、森のこと、いろんなことを彼女から聞きながら、雪上を歩く。

以前、2人からもらった刺激や学びは今も変わらず、久しぶりに会えたからこそお互いの強くて逞しい部分を再確認し元気をもらえたし、自分に足りないものに新しく楽しい目標ができたりもして、時間が経った今でも、やっぱり2人には最高のリスペクトを感じました。

16年ぶりの雪上セッション

みんな母になり新しい家族との時間、それぞれの状況下でスノーボードと向き合う時間を過ごした十数年間。会えるなんて簡単に想像が出来なくなるくらい、いつのまにか長い年月が経過し、状況が変化していく中で、私たちには「POW」という共通点が生まれ、それぞれの存在をまた近くに感じられるようになっていきました。

滑ること、話すこと、いい景色を見ること、美味しいものを食べること。共有できる時間は昔より限りがあるけれど、楽しい時間を宝物のように一つひとつを大事にして過ごしたい。

楽しんでいるからこそ、子どもたちが生きる地球の未来を本気で考える、その強い想いから生まれる最高の形を探して… 新しい何かが始まった予感がします。

私たち女性の感性や柔軟性を生かしてできること、私たちにしか出来ないことがある。

そこに雪があるから、そこにみんながいるから、私もみんなと楽しみたい。そして、守りたい。

以前は会えることが奇跡的なことに感じられたけど、16年ぶりに雪上で再会できたことで、ここからはじまる彼女たちとの時間に、期待とワクワクが今も止まりません。

またこうして一緒に滑れる日が来たことに心から感謝しています。
最高の1日をありがとう。

河野由貴子(POW JAPANアンバサダー)

通称:ゆきちゃん
数々のリザルトを残してきたプロスノーボーダーとしての活動後、2004年からは「LOVE the SNOW SAVE the Winter!」を合言葉に、雪や自然環境を守ることを啓蒙するイベントを発起人として実行。マウンテンクリーン活動や残雪でのセッション、普段滑っている森をより深く知るための企画など、雪を愛する人々と共に、地球温暖化問題を楽しみながらシェアしていく活動に従事。2014年に活動を一時休止し、現在は野沢温泉村の中島屋旅館 若女将として温泉宿業に奮闘しながら、雪山を滑り続けている。

橋本通代(POW JAPANアンバサダー)

通称:みっちゃん
ハーフパイプ代表として出場したソルトレイク五輪でファイナリストとなる。その後、“スノーボードを通じてキラキラと輝く子どもを育てたい”という信念に豊富な経験を落とし込み、2003年より子どものスノーボード教室「KIRARA KAMP」を主宰。スノーボードの普及から強化までのすべてに取り組み、2018年の平昌五輪では5名の教え子が活躍を果たした。現在は、ベースである軽井沢にてアスリートのセカンドキャリア構築を目的に、自伐型林業を軸とした事業も展開。アスリートと共に森林整備をしながら軽井沢の自然を活かしたウェルネス事業の実現に取り組んでいる。

小松由紀子(POW JAPAN)

日本でハーフパイプの大会を転戦していたが、カナダウィスラーの山に魅了されフリーライディングの世界に活動のフィールドを移した。日本とカナダに拠点を持ち活動するなかで、ネイティブカナディアン家族と出会ったことが現在の生き方、考え方に大きく影響している。2018年、POW Japanスタートから事務局スタッフとして関わっている。小さな頃から新潟の大自然と大雪の中で育った感覚をベースに持ち、我が子やその先の代にも雪を残し続けること、環境を守っていくこと、自然をリスペクトすることを大切にしている。

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