活動報告 | 2025年1~4月

活動報告
2024年1月~4月

今年は各地のスキー場で積雪に恵まれ、春シーズンまで盛り上がり、あっという間にシーズンも終盤です。雪がたくさん降ったからこそ自然での遊びを楽しませてもらった一方、極端な雪の降り方や雪質変化にも意識を向けざるを得ません。温暖化傾向にある中での冬や雪の変化については、気象予報士の正木明さんをInsgtagram Liveにお招きしてそのメカニズムを教えていただきました(アーカイブでもご覧いただけます)。

POW JAPANは「仲間づくり(環境教育・啓蒙活動)」「スキー場とその周辺地域の脱炭素化」「 政策への働きかけ」の3つを軸に活動を続けています。シーズン中にはたくさんのイベントや大会などでPOWの活動紹介や、ドネーションを集めてくださったりと、事務局の活動だけでは届かない場所へ「冬を守る」ムーブメントを広げてくださった皆様に心よりお礼申し上げます。

▽ 仲間づくり
 スキー場とその周辺地域の脱炭素化
 政策への働きかけ

仲間づくり

Hot Planet Cool Athletes

2月、茨城県小美玉市立玉里義務教育学校7年生(中学1年)のスキー学習の一環として、環境教育プログラムHot Planet Cool Athletesをリクエストいただき、アンバサダーの清澤恵美子さんと一緒に福島を訪れました。

今回はスキー学習をコーディネートされている旅行代理店さんからご依頼いただき、近年、雪不足の影響で実施スキー場の変更を余儀なくされるケースも現れており、確実に雪があるエリアを選ぶために選択肢が限られてきている、あるいはスキー学習自体を取りやめ林間学校など別の行事に変更する学校も出てきているなど、業務を通して気候変動の影響を痛感されているとこのこと。そのため、スキー学習に環境学習をセットにしたいとの思いから今回の機会に繋がりました。

活発に発言する生徒さんたちと、アンバサダーの清澤さんもコミュニケーションを取りながら積極的に「学ぶ」機会となりました。

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奥美濃で雪について皆で考える夜

大雪郡上

3月、郡上アウトドア事業者協議会(GOE)から奥美濃エリアにPOWを呼びたいとラブコールをいただいて実現したイベント「大雪郡上」。代表理事の小松から、昨年全国ツアーも行った環境プログラムをお話しした後、GOEの水口さん、ダイナランドの堀江支配人と共に、それぞれの立場から雪を残していくには何ができるのか?というテーマでトークセッションを行いました。

GOEは100年先も遊べる川と雪山を残そうとエリアの事業者同士が手を取り、自然環境と生態系を守りながら事業をしていること、また水口さんはエネルギーの地産地消の実現にも取り組んでいらっしゃいます。

スキー場も雪が無くなったら成り立たない危機感と、一方で経営も成り立たせなければならない間で、暖冬シーズンに備えた新型の降雪機の導入や、LED照明への切り替えによってエネルギー使用量を減らすという、二つの想いを両立する投資に切り替え、雪を残してゲストに楽しんでもらえる努力をされていました。

エリア内の事業者さん達の熱い想いが語られる度に、参加者の共感が高まる雰囲気が感じられ、同時にPOWのブースに来てくださる方もセッション毎に増していきました。
最後はこの日、スキー場で使用する全電力を中部電力ミライズが提供するCO2フリー電気「ぎふ清流greenでんき」で営業してくださったダイナランドでナイターセッションを滑り、滑る情熱と未来に繋ぐ想いを共有して最高の状態で締めくくりました。

郡上市、GOE、ダイナランドの皆さん、ありがとうございました。この一歩を更に大きくしていきましょう!

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公開講演会「信州の雪は将来、どうなる?」

滑り手ならば誰もが気になる「信州の雪は将来、どうなる?」をテーマに、気象予報士、研究者の方々のお話を伺ってきました。現場で感じていることと、科学の見解は合致することばかりで、この冬の大雪の背景を説明するような内容にも触れられていました。今回の交流を通して、現場の感覚と研究者の知見を交わすことの意義をあらためて考えさせられたので、今後も連携して、皆さんにも有益な情報を提供していきたいと思っています。

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パタゴニアイベント
「やりたいことのために、いまやる」

Patagonia のストアイベントのゲストスピーカーとして、福岡、東京、大阪の3カ所で話をさせて頂きました。前半はPOWの活動の紹介を兼ねて気候危機とそれを止めるために私たちがやるべきこと・知るべきことをお伝えし、後半部分では近隣で活動される多種多様な皆様とのトークセッションを取りまとめる(ファシリテート)役を仰せつかり、楽しい時間を過ごさせて頂きました。それぞれ違うスタンス・視点から見えている景色、日々の活動に込められた想い、課題などをオープンに話すことで、今まで見えてなかった部分や新しい気づきや学びがもらえた有意義な時間でした。

第二部では、「若者気候訴訟」の原告の方々とその弁護団の先生の話がありました。若者機構訴訟とは、日本に住む16人の若者たちが日本の主な火力発電事業者10社(日本のエネルギー起源CO2排出量の約3割を排出)に対し、少なくとも、IPCCが示す水準まで排出を削減することを裁判所に求めている訴訟です。

自分を含め多くの人にとって少し遠く感じる「訴訟」に踏み切った彼(女)らの想いと、実際に行動を起こしてからの流れや、感じていることなど、とても興味深いのももちろんですが、正直泣けてくるというか、こんなことを若者たちにやらせている世の中で良いのか?と大人の一人として、胸が痛くなるものがありました。

そういった形で立ち上がるのは勇気が要ると思う。普段着の彼(女)らは、明るいし、賢いし、謙虚で、若者らしい表情も普通に見せてくれます。そんな彼(女)らがあそこに立っているのは、今が安心できる社会ではないからであり、それをこの先私たち大人がなんとかしてくれそうにないからです。

自分もきっともっと出来ることがあると思いますが、今現在、彼(女)らよりももっと力も持っていて(少なくとも投票権は持っている)、さらに上の世代とも繋がっている今の大人である私たちが動かなければならない、と改めて強く感じた時間でした。

弁護士の先生からは、「訴訟」司法という手順で問題を提起することの意味、それが持っている力を教えていただき、話を聞くまでは正直、かなり無理あることに挑戦してるイメージを持っていたのですが、実はそれがすごくパワーを持っていて、他の方法だと、いくら沢山の人からの声であっても知らん顔してやり過ごす相手(今回の場合大手電力会社・関連会社など)の本音やスタンスがくっきりと見えてくることや、勝訴した場合に相手が取らなければならなくなる行動など、「司法」によって決定されるということの重みなどが学べて、とてもためになりました。

その若者気候訴訟の三回目の口頭弁論が5月22日14:00~名古屋地方裁判所で行われます。傍聴にくる人、メディアなどが多く集まることで、裁判官に対してこのケースが重要で注目が集まっているというメッセージになります。気になる人、応援したい人はぜひ当日ここに集まりましょう。

Photo: © Patagonia, Inc.

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with AMBASSDORS

TALK SESSION
今シーズンの大雪を紐解く

気象予報士の正木明さんをお招きして、温暖化における「雪の降り方」についてお聞きするInstagram Liveを開催。気象予報の視点と、実際にフィールドで雪や気象の変化をキャッチするアンバサダーの佐々木大輔さん、POWJAPAN代表の小松吾郎とトークセッション形式で実施しました。温暖化が進めば「雪が減る」という単純な話ではなく、北極の氷河が溶け、海水の温度が上昇し空気中の水蒸気が増えることにより、日本に届く気流や寒気の流れがこれまでと変わり、結果的に局所的なドカ雪が起きたり、これまで降雪がない場所で大雪が降るなどの状況になる、などを教えていただきました。トークセッションの様子はInstagramのリール動画にてぜひご覧ください。

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HARMONIZE

4月5-6日、アンバサダーの丸山春菜さんたちが主催するHARMONIZEに出展いたしました。イベントのタイトル「HARMONIZE:調和」の通り、休暇村妙高ルンルンスキー場に造設された特設地形コースにはキッズからプロライダーまで各地から集まった滑り手たちが楽しみ、イベントのテーマに賛同した企業ブースではウェアを長く着続けるためのリペアやメンテナンスが共有されたり、食のブースでは地産地消、無添加などにこだわったフードマーケットが開かれ、安心安全で美味しい食事をみんなが楽しんでいました。POW JAPANはトークセッションの時間をいただき、主催の春菜さんにイベント企画の想いや背景を聞いていきました。今回のイベントでは「PV-Green」の証書購入をというカタチで、リフト電力の再生エネルギー切り替えにチャレンジ。山や平地を切り開くメガソーラーでは無く、個人の家庭の太陽光発電から生まれたグリーン電力を選んだことを教えてくれました。
「次世代のこどもたちに「雪」を残すため、共に楽しみ、共に未来へ想いを巡らせよう」をテーマとする2日間のイベントを通して、仲間や家族との遊び方、イベントのあり方、遊びを支えるギアとの付き合い方、食のあり方、身体との向き合い方など、自然や人、自分自身との調和のあり方を考えるきっかけをもらう、とても平和なイベントでした。

Photo: Chihiro Hashimoto

with CREW

NENLIN Biwako Valley 試乗会

京都のスノーボードショップネンリンの来季試乗会にPOWボランティアクルーで2日間ブースを出展させていただきました。この数年積雪が少なかったびわ湖バレーにも今年は雪の恵みがあり、3月でもゲレンデに雪が残っている景色は滑りての方々がとても喜ばれていました。POWの発信するサステナブル・リゾート・アライアンス取り組みをご紹介やアンケートもさせていただき、今年の雪の状態や、どの辺りのエリアによく行かれているか、雪の変化などをお伺いし雪にまつわるお話をさせていただきました。そんな中でスキー場を環境に配慮したグリーンな運営にすることで滑り手も、スキー場も気持ちよく自然の中で経営ができ遊べることが理想ですね、とお話もありました。これからもスキー場やイベントなどでPOWのブースを見かけることがあれば気持ちよくこれからも滑り続けることができる環境についてなど話をしましょう。お手伝いいただいたボランティアクルーの皆様本当にありがとうございました

with PARTNER

Goldwin CAMP

3月29日、今年もパートナーGoldwinのCAMPに参加させていただきました。

今年のGoldwin CAMPではセミナートークに加え、マイボトルアクションを実践してみました。参加者にマイボトル持参を呼びかけ、スキー場内に給水ポイントを設置。水分補給には協賛いただいたWaterdrop社に、天然由来の果実・植物から抽出したエキスを封じ込めたキューブを水に溶かしたフレーバーウォーターを用意していただき、Goldwinアスリート、参加者の多くの皆さんに利用してもらえました。
セミナーではGoldwinアスリートかつPOWアンバサダーの清澤恵美子さんと、ペットボトルをマイボトルに置き換えて継続する事による効果をきっかけに、繰り返し・長く使う、それをみんなでやることで大きな効果になることをお伝えしました。

全施設が再エネ電力で運営されているエイブル白馬五竜で滑り、再エネ電力で製造されたWaterdrop社のキューブで水分補給をして、1日の滑りを“グリーン”にできたことを体験してもらいました。

再エネ利用しているスキー場や企業、Goldwinをはじめ耐久性の高い製品やリペアサービスに力を入れ、長く使えるウェアやギアも増えてきています。皆さんも日々の生活や滑りに行く行動を“グリーン”にする方法を、楽しみながらいろいろ実践してみてください。

 スキー場とその周辺地域の脱炭素化 

サステナブル・リゾート・アライアンス 40スキー場が加盟

サステナブル・リゾート・アライアンス」(SRA)は2シーズン目を迎え、全国40*のスキー場が加盟してくれています。
(*地図上に掲載のスキー場のほか、最上町赤倉温泉スキー場が新しく加盟しました!)

今シーズンは8つのスキー場でPOWチケットの本格導入が始まり、あるスキー場ではシーズン券の約2割がPOWチケット付きのシーズン券を選んでくださるなど、少しずつスキー場のグリーンな取り組みを応援する滑り手が増えてきたことを実感できる結果が見えてきています。

全国のスキー場でもさまざまな方法で「再エネ」にシフトするスキー場が増えてきたことも、とても嬉しいニュースです。リフトや降雪機など大量に電力を消費するスキー場においても「再エネ」に切り替えることでCO2の排出量を大幅に削減することができます。また、アンバサダーの丸山春菜さんたちが企画した「HARMONIZE」ではイベントで使用する電気を証書を購入してCO2フリーにしたり、BURTON Mystery SeriesやDRRREAM SESSIONでは太陽光パネルでロープトーリフトを稼働させるなど、遊び場における「電気の選択」にも新しい風が吹き始めています。

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yukiyamaアプリコラボキャンペーン

yukiyamaの協力でサステナブル・リゾート・アライアンス(SRA)加盟スキー場を滑りに行くことで応援する「グリーンなスキー場で滑り続けようキャンペーン」を実施(2/15-3/14)。シーズン前にはyukiyamaアプリにてSRA加盟スキー場の検索機能やスキー場ページにSRA加盟バッジを追加いただきました!yukiyamaアプリユーザーの皆さんはぜひアプリをチェックしてみてください。

キャンペーンを目前に実施したYouTubeライブには、加盟スキー場のエイブル白馬五竜とスマイルリゾートの担当の方に出演いただきました。エイブル白馬五竜は電力の再エネシフトに留まらず、今シーズンからナイター照明を全てLEDに切り替え、プラントベースの新ラーメンメニューなど新たな取り組みも。また両社のスキー場は今シーズンから滑り手がスキー場を直接応援できるドネーション付リフト券「POWチケット」を導入し、そのドネーションで進める取り組みも紹介していただきました。その他のSRA加盟スキー場でも少しづつサステナブルな取り組みが進んでいます。

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DRRREAM SESSION – 太陽光で動くロープトー

「R天国」と「地形研究会」がタッグを組んで造成する特設コースを滑る”DRRREAM SESSION”と、太陽光発電でロープトーリフトの稼働を試みる”FUTURE LAB”。このコラボイベントが、今年もSRA加盟の湯殿山スキー場で開催されました(3月29-30日)。全国から多くの横ノリが集まり、ベースエリアには様々な協賛スポンサーのテントが並ぶ、まさに雪上のお祭り。あちこちでハッピーな会話が交わされ、激アツなセッションが繰り広げられていました。そんな会場で、自然のエネルギーでロープトーを動かす実験が行われてる。まさにスノーボーダーらしいアプローチに胸が躍ります。今年は蓄電池が導入されたことで、大雪に見舞われ目まぐるしく変わる天候の中でも、発電機に頼らずとも、3日間一度も止まることなくロープトーは動き続けました。いつの日にか、この実験が常設のリフトとしてスキー場に導入されることを夢見て、今後も関わり続けていきたいと思います。

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政策への働きかけ

立憲民主党「環境政策部会」へ

4月9日、立憲民主党の環境エネルギー政策議論を深めるため、「環境政策部会」にお招きいただきました。

昨年実施した #voicefromtheoutdoorcommunity の一環で、衆議院議員の篠原孝さんへの政策提言をきっかけに、今回の機会に繋げていただき、環境部会では約10名の議員の皆さんへPOW JAPANの活動や提言をお伝えしました。議員の皆さんからも感想や質疑をいただき、その中で「地域の自治体と取り組むことが地域創生の点からも大切だ」とご意見をいただきました。

サステナブルリゾートアライアンス (SRA)の取り組みはまさしくその点において、持続可能なスキー場の運営、地域経済活性化に繋げるための良い機会となること、また村とスキー場が連携し小水力発電を運営している野沢温泉の事例など、官民が横串で展開していくことの重要性もお伝えしました。そのほか、政策で気候変動の優先順位をあげていただき、特に参院選で明確に公約として上げて欲しいと要望しました。

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「スポーツ基本法」へ提言

スポーツを楽しむすべての人に関わる「スポーツ基本法」が、いま13年ぶりに見直されようとしています。4月17日、POWは一般社団法人SDGs in Sportsの代表理事井本直歩子さんと一緒に、気候変動に対応した施設整備や科学的な調査を法律に明記してほしいと、ウィンタースポーツ議連の共同代表の遠藤議員、事務局長の中村議員に要望を届けました。雪不足や試合中止など、スポーツはすでに気候危機の影響を受けています。法改正で自治体が動きやすくなれば、持続可能な施設づくりや気候への備えが進み、大きな一歩となります。

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