スキー教室×Hot Planet Cool Athletes(正則学園高等学校)

Takehiko Setoyanagi

– Hot Planet Cool Athletesレポート-

正則学園高等学校(東京都/神田)にて環境教育プログラム『Hot Planet Cool Athletes』(以下HPCA)を開催。「白馬近郊で実施予定のスキー教室と合わせてHPCAができないか」というリクエストをいただいたことをきっかけに実現に至りました。

都心に位置する同校は、商店や住民が多く、ローカルの人たちの繋がりが濃い神田という立地を活かし、地域住民や企業とユニークな課外授業を行っている学校で、SDGsの学習を通して課題解決に向けて行動に移すことができる人材の育成にも力を入れているそうです。

HPCAと合わせて、気候変動への取り組みがすでに進んでいる白馬エリアでのスキー教室を開催することで、生徒の皆さんにいろんな気づきを得てほしい、という先生たちの強い熱意のもと、スキー教室に先立って、白馬エリアでの取り組みを紹介する事前学習をオンラインにて実施しました。

事前学習

事前学習では、正則学園の皆さんがスキー教室を実施する予定の白馬岩岳スノーリゾートの宮嶋さんにご協力いただき、白馬での取り組みを紹介。2019年5月に実施した「気候変動&地域経済シンポジウム」をきっかけに、白馬村や各スキー場、そして同年代の白馬高校の生徒たちが実際に行ったアクションをお伝えました。POWパートナーでもある白馬岩岳スノーリゾートからは、サステイナブルリゾートNo.1を目指し、スキー場で実施している再生可能エネルギーへの切り替えや、レストランにおける地産地消とプラスチックフリー化、再生材を使った内外装の推進といった取組みをご紹介いただきました。

白馬エリア訪問が楽しみになるよう、ローカルライダー達の滑り映像を流した時にはPCの画面越しにもノリノリの生徒さんの姿が見えた。

生徒さんたちはPOWや宮嶋さんの話しを熱心に聞き、滑り手の動画を見て盛り上がっていたこと、都会に住む生徒たちにとってプロスキーヤー/スノーボーダーはとても“COOL”で刺激を受けていたこと、を正則学園の先生から後日フィードバックいただきました。生徒さんが感じてくれたこのクールさが、まさに本プログラムの重要な要素の一つである『アスリートが伝える』力なのです。

スキー教室中止と生徒たちのフードロスアクション!

事前学習を経て、スキーを体験した生徒さんたちとのHPCA がますます楽しみになってきた3月。新型コロナウィルスが再び感染拡大し、残念ながらスキー教室が中止になってしまいました。

直前の中止に生徒さんたちもきっとがっかりしているだろうと想像していましたが、逆に彼らのパワフルなアクションを見せつけられる機会となりました。

止むを得ず直前のキャンセルにより、宿泊先で準備されていた約200名分の食材が余ることに。SDGsの17のゴールを学んでいた生徒さんたちは、これらの食材廃棄されれば「2. 飢餓をゼロに」、「13. つくる責任・つかう責任」につながると考え、アクションを企画。

予定していた宿泊施設から食材を送ってもらい、行き場を失った食材を地域の人へ配布と、都内のこども食堂等への寄付を通して「フードロス問題を知ってもらう」というイベントを実施したのです。また、イベント当日(3/11)は東日本大震災から10年目と重なることから、生徒会の発案で復興支援募金も同時に行われ、数時間で廃棄される予定だったすべての食材が必要な人の手に渡り、15万円強の募金が集まったそうです。この取り組みは読売新聞社、朝日新聞社、TBSなどのメィデアも取材されていました。

日頃からの地域との交流やSDGs学習を活かした高校生の素晴らしいアクションと頼もしさに、感銘する出来事でした。

念願の直接対面とHot Planet Cool Athletesプログラム

残念ながらスキー教室は中止になってしまったが、元々4月に予定されていた事後学習(実は事前学習、スキー教室、事後学習と、3段構えでした!)の予定を変更して、正則学園に訪問し、HPCAを実施することができました。

グループワークの様子。

新2年生となった生徒さんや先生とご対面が叶ったこの日は、グループワークからはじまりました。グループワークのお題は「グループやクラスでできる気候変動を止めるアクション」。初めは自力でアイデアを出すことが難しい様子でしたが、裏紙を再利用する(リユース)、ゴミの削減(リデュース)、エアコンの設定温度(省エネ)やペーパーレス・タブレット化など学校でできるアクションアイデアに加え、再生可能エネルギーへのシフト、屋上へ太陽光パネル設置、緑化による二酸化炭素の吸収、更には炭素税といった言葉が出てきました。

慣れないテーマ設定による難しさはあったと思いますが、フードロスアクションを実現した正則学園の生徒さんたちなら、気候変動について知り、身近なアクションからスタートし継続することで、オリジナルのアクションを考え行動してくれるだろう、と強く感じました。

グループワークに続いて、Hot Planet Cool Athletes本編はPOW Japan代表の小松吾郎が語り手として登壇。熱心に聞く生徒さんたちの様子を見て、小松もいつも以上に話に熱がこもりました。

正則学園の皆さんと。来シーズンは白馬で滑るぞ~!

白馬の大自然を感じ、スキーを楽しんでもらえていたら、生徒さんたちの反応はどうだったのだろう?と心残りはあるものの、またの機会の楽しみにしたいと思います。

最近は、ほとんどの学校でSDGsや気候変動の学習が取り入れられているそうです。今回は思いがけず、高校生の力を「フードロスアクション」というカタチで目の当たりにしたわけですが、将来世代が気候変動問題に関心を持ち、脱炭素社会の担い手になっていくイメージができました。

Hot Planet Cool Athletesを通して、アスリートの経験や言葉がそのきっかけになると思うと、今後どんな学校や生徒さんたちと出会えるか、とても楽しみです。

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