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ニセコ町訪問 ~環境モデル都市アクションプラン~

ニセコ町訪問 ~環境モデル都市アクションプラン~ 2月、POW Japanは環境モデル都市に選定されたニセコ町を訪問してきました。その目的は、環境モデル都市に選定されて環境と経済の両軸で持続可能な町を目指してアクションプランを進めているニセコ町役場の担当者の方にお会いし、ニセコ町の状況の把握や意見交換を行うこと。今回のブログでは、持続可能な街づくりをしている自治体のアクションを知り、それを滑り手が応援する、さらには各滑り手のローカルでも取り組みの参考になることを願って、訪問の様子をレポートします。 ニセコを訪問したのは2月末。ニセコエリアも例に漏れず小雪の影響を受けており、晴れ間には道路が乾燥していた。滞在中は比較的気温が低く、少量の降雪もあり軽くドライで上質な雪を楽しむことができた。パウダーデイにはならなかったが、雪崩管理されつつも広大な非圧雪エリアは非常に魅力的なスノーリゾートで国内外からこの地を目指す理由が良くわかる。しかし今シーズンは小雪に加えて新型コロナウィルスの影響もあり、海外からの旅行客が少ない印象だった。 町役場の方とお会いする前に、ニセコエリアを少し周ってみた。ご存じの通り、最も開発が進んでいるのはニセコ町のお隣になる倶知安町のグランヒラフ山麓ベース周辺と倶知安駅周辺。碁盤目状に整備された区画に所狭しと建物が建っておりグランヒラフのベースにはマンションのような大きなホテル群に圧倒される。幼少期を倶知安町で過ごしたPOW Japan代表の小松吾郎によると、昔は隣の家との距離がありその間には森が続いていたという。その後、年々増加するゲストを受入れるために広範囲にわたる開発が進んだそうだ。ニセコ町も倶知安町ほどではないがやはり開発が進んでいて、不動産情報誌に掲載されている値段は桁一つ多い感じ、自分は「お呼びでない」なんて感じてしまった(笑)。 ニセコ町役場訪問 ニセコ町の基幹産業は農業と観光業で、冬季は世界に誇る雪質と大規模スノーリゾートで国内外から多くの観光客が訪れ、夏季も体験型アウトドアスポーツが盛んだ。町の政策としては、前述の2大産業を支えるのは「環境」であることから、持続可能なまちづくりに力を入れており、国からも2014年に「環境モデル都市」に、2018年に「SDGs未来都市」に選定されている。また、2001年に、全国で初めて「町の憲法」といわれる自治基本条例「まちづくり基本条例」を制定し、「住民参加」と「情報共有」を柱とし、「相互扶助」によるまちづくりを推進。人口は5000人程度で、多くの市町村が人口減少する中で2000年以降、子育て世代やリタイヤ後の移住者などによって増加傾向にある。 ニセコ町役場でお会いしたのは、環境モデル都市を推進担当のお二人。そしてPOW Japanパートナーであり、ニセコエリアでスノースクールを主宰するFar East Snow Sportsから3名も同行してもらった。彼らはニセコエリアで自主的に環境関連映画の上映会や、環境ミーティングを開催している熱い想いを持ったメンバーだ。 環境モデル都市の動き ニセコ町では2014年から、「2050年までにCO2排出量を86%までに低減する」というかなり野心的な目標を立ててスタート。2014~2016年第1次環境モデル都市アクションプランとして、ニセコこども館省エネ建築工事、地中熱ヒートポンプ導入、町民エコ運動を実施。しかし、人口・観光客、開発が増加により温室効果ガス排出量の増加圧力が高まる一方という状況で、目標を達成するためにアクションプランの見直しが必要となった。そこで専門的な事業者を公募し、ドイツ在住で環境ジャーナリスト・環境コンサルタントの村上敦氏が代表を務めるクラブヴォーバンに再策定を委託。住民との対話、ニセコ町の将来像の絵巻作りなどを経て、画期的な第2次環境モデル都市アクションプランが出来上がった(クラブヴォーバンによる温暖化対策計画の策定と背景はこちらも参照ください)。次に、2019年からはスタートとした第2次環境モデル都市アクションプランをご紹介する。 <建築関連> 超省エネの役場新庁舎建設:域外へ流出するエネルギーコストを最小化するために、まずは役場新庁舎を次世代の超断熱仕様で建設中。トリプルガラス内側樹脂サッシ、約20cm厚の断熱材などにより、断熱性能は外皮平均熱貫流率Ua値0.18(北海道の推奨値は0.4)という驚く値!高断熱は外からの熱の出入りを小さくするため、館内の冷暖房にかかるエネルギーを通年で削減することができる。設備面ではLPGコジェネレーションシステム(発電しながら無駄なく熱を再利用するシステム)、屋根に太陽光パネルスペースを準備(後述する市民主導の再エネ事業に使ってもらう計画)。 コジェネは、使い始め時期はLPGを使用して発電するそうだが、将来予測されている人口減少時期には再生可能エネルギーが余ることも見通されており、その余剰電力で作った水素を発電のエネルギー源に使うことが想定されている。(まず設備を作っておいて、将来的に化石燃料ではないエネルギー源に移行ができる準備) NISEKO生活モデル地区: 当面の人口増加圧力に伴う住宅不足を解消しながら、生活の低炭素化を実現するために、環境配慮型集合住宅の建設を進める施策。高断熱の集合住宅はエネルギー消費削減だけでなく、高齢者に多くなるヒートショック対策にもなる。 工区を分割して段階的に開発することにより世代が偏らないように工夫されており、暮らす人の健康とコミュニティーの持続性もあわせて「住みたい」と思えるモデル地区構想になっていた。 <エネルギー関連> NISEKO生活モデル地区の開発・運営とエネルギー事業を行うまちづくり会社を設立し、省エネと地域経済循環を高める。再生可能エネルギーもメガソーラーなどの乱立防止と町民主導型の事業を優遇して町民出資を促進する仕組みを目指し公共施設の屋根スペースなどの提供も行う。地産地消の再生可能エネルギーへのシフトは、資金面においても「域外への流出」から「域内の循環」へシフトし地域経済の活性にもつながる最も良いエネルギーの形ですね。これが実現すると大きな前進であり、他の自治体にも広がる期待感でワクワクします。 <移動関連> 地方都市ではやはり自動車依存が高く、ニセコ町において「移動」は観光・サービス業に次いで2番目に温暖化ガス排出割合が多いセクター。クラブヴォーバンによると、生活に必要な施設が近いエリアの集合住宅には高齢者に入居してもらい、車移動が可能な若い世代の移住者には郊外の空いた家を提供する形も検討されていた。生活圏の距離が短くなることで徒歩や自転車利用を促進し、健康増進と移動時の温室効果ガス排出低減につなげる。グリーンシーズンの体験型の観光立地の強化にもつながる。 また人が集まって住む生活モデル地区の整備が進むと公共交通の利用率向上にもつながる。地方都市でありがちな、居住区が分散しているために潤うバス路線が少なく、結果としてバス本数が少なく利用者が減る悪循環を解決する形だ。 バスの利便性を高め、将来的にはEVバスを導入して更なる移動セクターの温室効果ガス排出低減が考えられている。 <事業活動の低炭素化とインセンティブ(新税導入)> ニセコ町の温室効果ガス排出量1位の「観光・サービス業」セクターに対しては、省エネ推進する意思のある事業者と協定を結び優先的にインセンティブを提供することで、低炭素化と事業者のコストメリットの両輪を目指す。財源としては新税(仮:宿泊税)の導入が検討されている。その税収を財源に宿泊施設の窓を断熱効果の高い窓へ交換することなどに充てることで、空調に費やす費用・エネルギーを削減できる。目的が明確で、且つ事業者と環境に還元される良い仕組みではないか。 質疑応答では、Far East Snow Sportsメンバーからも食関連、プラスチックゴミ問題、開発による森林減少に対する危機感など地元に関わる環境問題を幅広く意見交換させていただいた。環境問題には幅広く課題があるが対話から見えてきたのは、限られたリソースの中で気候変動問題の解決に向けて最優先と考えられる温室効果ガス排出量の削減にフォーカスしているニセコ町の姿。環境モデル都市として国から選定を受け、専門機関が入り、気候変動問題の解決に向けて最優先と考えられるCO2排出量の削減に向けて2030年までに44%削減、2050年までに86%削減するという大きな目標に向かって現実路線で動き始めている先進事例であることは間違いない。 そしてそれが日本屈指のスノーフィールドの地で進んでいる。我々滑り手はまずしっかりとその取り組み内容を知り、応援し、さらには関わっていくことが大切だと思う。これからのニセコ町の動きが楽しみであり、全国のスノータウンに波及していくことになれば最高にエキサイティングだ。 (参考) ・ニセコ町Web Site / 環境モデル都市 ・広報ニセコ 2020年2月 (特集:ニセコ町の未来をつくる 環境モデル都市アクションプラン)

環境から考える断熱の必要性

環境から考える断熱の必要性 家の断熱に関するセミナー聴いてきました。 東北芸術工科大学・環境デザイン学科教授、エネルギーまちづくり社・代表取締役、みかんぐみ・共同代表、一般社団法人パッシブハウスジャパン・理事でいらっしゃる竹内昌義氏によるトーク。断熱ワークショップなども開催し、あったかリフォームも手掛けられています。 10/6に開催したソーラーイベントの中でも少し触れられていましたが、家の断熱性能を上げることは家庭でのエネルギー消費を減らすと同時に、夏も冬も快適な生活を手に入れられるいい事ずくめのアクション。 「日本の家は寒い」その理由は日本の住まいの約40%が「無断熱」、37%が昭和55年基準と断熱性能が低い建物だからだそうです。断熱していないということはダウンなどインサレーションを着ないで雪山に行くのと同じ、と考えるとありえない気がしちゃいますね。。 一方でパッシブハウスと呼ばれる高断熱の家になると日中の太陽熱で温まっただけで暖房がほぼ不要。断熱層は壁30cm、天井45cmもあります。もう全身ダウンで4シーズンシェラフに入ったような状態。 でも寒い家にもダウンを着せればいいのです。家の場合は主にグラスウールやスタイロフォームでできた断熱材になりますが、施工技術は難しいことなく、断熱材も高くありません。また家全体ではなくても、エリアを限るとさらに低コストでできます。更にお手軽エコ改修方法として、熱の出入りが最も大きい窓に、ハニカム構造で空気層(断熱層になる)を持つスクリーンカーテンをつける、隙間風をシャットする隙間テープを貼る。これだけでも違うようです。 冬を前に住まいのレイヤリングも考えてみてもいいかも知れませんね!

雪国での屋根ソーラーパネル設置の可能性 ~エネルギーシフトで冬を守る~

雪国での屋根ソーラーパネル設置の可能性 ~エネルギーシフトで冬を守る~ ここ数年、毎年異常気象という言葉をニュースで耳にするようになってきた。今年は大型の台風15, 19号が日本上陸し、特に19号は上陸前に最大カテゴリー5まで発達した後、広範囲で河川の氾濫による水害被害をもたらした。産業革命が起きた1980年代以降、地球の平均気温は約1℃上昇した。今のままでは2050年までに3℃上昇すると言われており異常気象がさらに増えることは明白だ。 今回はPOWのアクションリストにも挙げているエネルギーシフトの一つの手段であるソーラーパネル発電に関するイベントを開催した。なぜエネルギーシフトが重要か?その理由は、地球温暖化の原因となっている温室効果ガス排出の原因の約7割が石炭・石油・天然ガスといった化石燃料の燃焼に起因しており、更にそのうちの3割が電気と熱を作るためであり最も温室効果ガス排出割合が大きいからだ。そのため原発を除く再生可能エネルギー(もしくは自然エネルギー)を増やし、脱化石燃料が温室効果ガス排出の減らす効果的な対策の一つになる。 本イベントは5月に開催した「気候変動&地域経済シンポジウム」の続編という位置づけになる。先のシンポジウムでエネルギーシフトの手段として太陽光発電に触れ、皆様に協力いただいたアンケートでも再生可能エネルギーについてもっと知りたい、ソーラーパネルを増やすといった意見をいただいた。一方でソーラーパネルは製造から廃棄までのライフサイクルの中で本当に環境負荷が少ないのか?自然の景観を害してしまうという意見もみられた。そこで、ソーラーパネル発電に関するモヤモヤを解消してみよう、滑り手が住んでいる雪国でのソーラーパネル設置の可能性を探ってみよう、という想いでイベントを企画した。シンポジウムを共催した自然エネルギー信州ネット事務局長の浅輪剛志氏に司会を務めていただき、ノンフィクション作家で映画“おだやかな革命”のアドバイザーである高橋真樹氏と、信州中野を拠点に積雪地域でもソーラーパネル設置の経験が豊富なシバクサ電器代表取締役で新エネルギー革命会理事も務めておられる丸山浩司氏とのトーク形式で行った。自然エネルギー全般に精通した高橋氏からは気候変動問題の話から再生可能エネルギーについて広く触れたのちソーラーパネル発電のメリット、デメリット、そして環境負荷についてお話いただいた。丸山氏には雪国での可能性について、現場目線でのお話と設置を検討している方を対象に個別相談にも対応いただいた。 気候変動についてはいろいろとお話いただいたが、NHKが制作した「2050年の天気予報」というインパクトある動画を見たので紹介したい。これは2014年の科学データを使って2015年に制作されたものです。現在のペースでCO2を排出した場合に、真夏日連続50日、京都の紅葉がクリスマス頃、スーパー台風の襲来などが予測される現象として描かれている。また世界中で起こりうる氷河融解、海面上昇、干ばつ等による食料不足、難民増加など約6分半に予想される将来が上手くまとめられている。 https://www.youtube.com/watch?v=NCqVbJwmyuo このような未来にしないためにもパリ協定の目標である産業革命前からの地球気温上昇を2℃より低く保つ、1.5℃以下に抑える努力をしなければならない。この目標を達成するにはもうほとんど化石燃料を燃やすことができないレベルと言われており、すぐにでも自然エネルギーへの転換が必要だ。  少し本題から逸れるがエネルギーシフトと同時にエネルギー使用量を減らすことの重要性にも触れられたので紹介する。皆さんの中にも家庭で省エネに取り組んでおられる方がいると思うが、ちょっと暑かったり、寒かったりしても我慢していないだろうか?私も冬は上下ダウン着て過ごせば寒くない、と我慢系省エネをしている。今回紹介されたのは家の断熱を高めることであった。日本の住宅の95%は断熱性能が国際レベルに達しておらず、エアコンやヒーターをガンガン使用しても熱が外に逃げ、エネルギーを捨てていることになっているという。高橋氏はモデルハウスだった断熱ハウスを購入して住みながらレポートをされている(高橋さん家のKOEDO低燃費生活 http://koedo-home.com)。夏も冬もおだやかにエアコンを使用するだけで快適且つエネルギー消費が低い生活が手に入ったそうだ。これから家を建てる方は、初期コストはかかるが高断熱の家を選んではどうでしょう?また断熱リフォームも効果が高い。自治体によっては断熱リフォームに補助金を出してくれるところもあるので利用しない手はない。 高橋真樹氏 さて、自然エネルギーを増やすことは重要であるが、ただ増やせばよいということでもないようだ。一つ目の例では自治体が補助金を使って建設した風力発電が台風で破損して使用できなくなった。二つ目の例では山肌を削ってソーラーパネルを設置しているが、パネルの並びも整然としていないため景観も悪く、大雨が降れば土砂崩れで流れされてしまいそうな設置方法であった。FIT制度によって自然エネルギーが増えたのは良いが、政治的アピールや、利益最優先で作った施設が環境や景観を損ねている場合があることで自然エネルギーに対して悪いイメージを持つ人も出てくるだろう。未来も見据えて自然エネルギーを導入する目的が大切とのことだ。 では自然エネルギー先進国であるドイツや北欧はどのようにうまくいったのか?政府主導と思いがちだが、実は地域にあったらいいね、から始まりそれを政府が後押しする形であったよう。地域の人が自分たちの将来、次世代に環境を残したいという想いから少しずつ増やして、結果的に社会全体がエネルギーシフトできることにつながった。日本でも同じような動きは生まれている。高橋氏がアドバイザーを務めた映画おだやかな革命から福島県の会津電力の例を紹介いただいた。東日本大震災後、原発に頼らず地域の自立と循環型エネルギーを目的とし、豪雪地帯でもある会津においてソーラーパネル発電を成功させ雪国でも太陽光発電をできることを証明した。当初は実績もなく金融機関の融資が得られなかったが、自分たちでパネルの設置角度、あらゆる気象条件下でデータをとり十分な採算性を証明し融資を取り付けた素晴らしい前例だ。 一方で、自然エネルギーをもっと上手に活用する政策・制度の整備が必要そうだ。例えば九州ではメガソーラーが集中しており一気に電気が流れて送電容量いっぱいになることがあるらしい。そんな状況の中でも原発が再稼働時のために送電容量を空けており、容量が余っているにも関わらず電気を送電網に接続できない仕組みになっている。これは日本では原発や大規模な石炭・石油火力がベース電源として優先され、自然エネルギーによって発電された電気は気象条件等で発電量に変動があるため、送電網にとって邪魔者扱いされているからだ。確かに自然エネルギー発電は気象条件で変動してしまうが、ソーラーだけでなく、夜間でも発電できる風力や水力などをバランスよく調整することで変動は小さくできるようだ。邪魔者扱いするのではなく、自然エネルギーを上手く使うことに制度改革や技術開発に力を入れる方向に転換するべきだと考えさせられた。こういった政策・制度は一個人で変えられるものではないが、何もできないわけではない。「声を上げる」、「投票」という行為で変えることができる。エネルギー転換に力を入れている政党、政治家に投票しよう。 さて、ソーラーパネルのライフサイクルでの環境負荷はどうか?私もこの点は気にかかっていた一人だ。ソーラーパネル発電は設置後ほとんどCO2を排出しないため、製造時に出たCO2の排出量は1~2年でエネルギーコストがプラスに転換する。廃棄時にかかる環境負荷はどうか?ソーラーパネルは主にアルミフレーム、トップガラス、シリコンという比較的単純な構成かつ、容易にリサイクル可能な材料で作られている。実際にリサイクル現場も取材されており、分離・分解技術も高まってリサイクル手法が確立されている。被災して放置されたり、不法投棄されたりして悪いイメージを受けることもあるかもしれないが、これはソーラーパネルに限った話ではない。リサイクル可能なのでしっかりと回収、材料の再利用するルールをしっかりすればよい問題だ。また、ソーラーパネルは20年以上経過しても発電可能なことも実証され、リユース事業も現れているそうだ。しっかりとしたルールで運用されれば、思っていた以上に環境負荷は小さく、化石燃料を燃やす発電よりも良いことが分かった。 丸山浩司氏 それでは雪国でのソーラーパネル発電の可能性はどうだろう?丸山氏にシバクサ電器で実際に設置した積雪量の多い~少ない地域での発電量を紹介いただいた。日本でも有数の日照条件が良い東御市、積雪の多い飯綱市とその中間程度の日照条件となる中野市の3地域での比較だ。まず共通していたのはどの地域でも春~秋(3~11月)に年間発電量の約8割を発電していた。冬でも晴天率の高い東御市の12-2月の発電割合は20.5%、飯綱市の同期間では15.1%と降雪・積雪の影響で大きく発電割合が落ちることはなかった。年間の発電量は1kWあたり東御市:1,405kWh、中野市:1,383kWh、飯綱市:1,120kWh。ちなみ他の地域と比較すると、東京:1,173kWh、新潟:1,114kWh、大町市:1,343kWh、白馬村:1,261kWh、ドイツ:930kWh(比較地域の数値は太陽光発電1kWあたりの年間平均発電量を過去の日照データから計算したシミュレーション値、出典:ソーラークリニックhttp://www.jyuri.co.jp/solarclinic/calc.htm)となり、ソーラーパネル発電はあまり期待できないと思われた積雪地域の飯綱市や白馬村が、東京よりも平均発電量が多く十分なポテンシャルが示された。 雪国では積雪、落雪によるソーラーパネルの破損の懸念についても触れていただいた。屋根に設置する場合はパネルの支持点を多くとる必要があるようだ。お神輿を担ぐ際に10人よりも20人の方が楽なのと同じでパネルや屋根への負荷を分散して破損を避けられる。メーカーによってはパネルの裏側に補強バーを入れて積雪2メートルまで耐えられるパネルもあるそうだ。またパネル間の隙間なしや、隙間を埋めるスペーサーを用意しているメーカーもある。パネルの隙間がないほうがパネルの上に積もった雪が落ちやすく、また引っ掛かった雪によってフレームが破損することを防げる。当然ながら勾配を大きくして設置すると雪が自然に落ちてくれて望ましいが、屋根に設置の場合はほぼ屋根の勾配と同程度の角度での設置となるそうだ。冬のメンテナンス、という点ではパネルに雪が積もったままでは発電しない、また軒先と地面が雪でつながるとパネルの下端に力が集中して破損につながるため、雪かきの必要がある。ただし、ソーラーパネルの表面はガラスで非常に滑りやすいため屋根に登っての除雪は危険なので、どうしても必要な場合は除雪専門に依頼してください、とのことでした。 雪国では積雪に対する備えが必要にはなるが、雪によって極端に発電量が落ちることはなく、また春~秋での年間の8割近くを発電するため十分に可能性があることが分かった。導入を検討される方は、地元など積雪地域で設置経験が豊富なお店に相談するとよさそうだ。賃貸住宅でソーラーパネルを設置できない方でも自然電力系の電力会社に契約を切り替える方法などがあるので、それぞれできる範囲でアクションを考えていくことも重要だ。 最後に、高橋真樹さんの言葉で印象に残った一言がある。 「目先の費用のために誰かに迷惑をかける社会をやめましょうよ!」 ふと、宇宙船地球号を思い出した。地球上の資源の有限性や資源の適切な使用について語るために地球を閉じた宇宙船に例えたもので、1963年にバックミンスター・フラーが提唱した概念だ。それから56年、我々は上手に地球号を操縦できているだろうか?一人ひとりが地球人として乗組員と船の安全を考えて行動したい。

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