活動報告 | 2025年5~8月

活動報告
2025年5月~8月

夏のはじまりから終わりまで、ずっと暑い夏でした。

気象庁からは、日本の夏の平年との気温差が昨年・一昨年の記録を大幅に上回り、3年連続で最も高い記録となったという報道発表もありました。各所で40℃を超え、41度を超えるような地域も。皆さんお身体の調子は大丈夫でしたでしょうか?

こうした猛暑について「暑さ」としての言及はあっても「気候変動」と結びつけた報道や議論はまだまだ限定的。今年の夏、JCLPは8月8日を「暑すぎる夏を終わらせる記念日」に制定し、「暑さ」を気候変動の問題として捉え直す社会的なきっかけをつくりました。冬の変化だけでなく、日々の暮らしで感じる変化を、「声」にすることで、話題化することも、アドボカシーアクションのひとつです。

POW JAPANは「仲間づくり(環境教育・啓蒙活動)」「スキー場とその周辺地域の脱炭素化」「 政策への働きかけ」の3つを軸に活動を続けています。冬に向けて大事な準備の期間、たくさんのイベントや気候アクション、参院選に向けた対話や行動、サステナブル・リゾート・アライアンス(SRA)への加盟・継続、POWチケットの導入、パートナーとしての協働など、それぞれ・様々な形で「冬を守る」ムーブメントを広め続けてくださっている皆様に、心より敬意と感謝を表します。

▽ 仲間づくり
 スキー場とその周辺地域の脱炭素化
 政策への働きかけ

仲間づくり

POW台湾誕生!初の海外イベントへ参加

POWやPOW Taiwanを紹介する、台湾での初めてのイベントに、POW JAPANから事務局の武井が参加しました。15名の参加者の多くが、野沢や越後湯沢、蔵王、苗場など日本での滑走経験を持ち、JAPOWの魅力もご存知でした。POW Taiwanの代表を務めるIreneからは「台湾にもかつて屋外のスキー場があったが、なくなってしまった。雪崩による事故も増えている。安全にスキーやスノーボードが楽しめる環境が気候変動により脅かされている。私たちが小さい時に享受してた環境を”未来にも残していきたい”という想いで活動している」と語られました。武井からは、SRAやPOWチケットを通じた日本のスキー場の脱炭素化の取組を紹介。参加者からは「長期滞在での排出削減」「公共交通利用」「マイボトル持参」など具体的なアクションも議論され、「SRA加盟スキー場に行きたい!POWチケットを選びたい!」という声もありました。国は違えど、雪への情熱は一緒。活動をともにしていく心強い仲間とまた出会うことができました。

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【東急スノーリゾート×Burton×POW】みんなで雪と遊ぶ世界を守る一般参加型イベント「マウンテンクリーン2025」

昨年に続き、パートナー企業の東急リゾーツ&ステイ株式会社とバートンジャパン合同会社によるマウンテンクリーンが、サステナブル・リゾート・アライアンス(SRA)に加盟する東急スノーリゾートの5施設で開催されました。たんばらスキーパークとスキージャム勝山では、スタッフだけでなく一般参加者も、ハンターマウンテン塩原では地元の小中学生や先生も活動に参加。また、たんばらスキーパークにはPOWアンバサダーの大池拓磨が、タングラムスキーサーカスではパートナー企業のキーン・ジャパン合同会社、BOA Technology Japanも一緒に参加し、アクションの輪がさらに広がりました。こうして行動を共にする時間と経験を重ねることが、大きな連帯にもつながっていくと感じます。

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with AMBASSADORS

軽井沢ちいき活動みほん市

軽井沢町内で活躍している市民活動団体が、展示ブースや体験などで活動をPR・共有する場として年に一度開催される交流イベントに「ハグカル:ハグボイス軽井沢」としてアンバサダーの橋本通代と参加しました。2023〜2024年と開催した全国一斉気候アクション「軽井沢気候マーチ stay cool 軽井沢」の写真展示と、今年度の告知も兼ね、軽井沢で活動している様々な方たちに、ハグカルの活動を 伝え、交流してきました。

 スキー場とその周辺地域の脱炭素化 

POWチケット

【24-25 POWチケット成果報告】のべ1,196人、総額80万円以上のご支援が集まりました

昨シーズンより本格導入がはじまったPOWチケット。リフト券の購入金額の一部が、スキー場の「ゼロカーボンやサステナブルな取り組み」への直接的な支援につながる寄付になります。24-25シーズンは、下記の7スキー場で導入され、再生可能エネルギー由来の電力への切り替えや森林整備、生ゴミ処理機の導入や雪室の啓蒙活動など、それぞれの施設や地域の特色にあったサステナブルな取り組みが推進されました。

POWチケットの成果

実際にPOWチケットを選んだスキーヤーの一人からは、POWチケットにより自分のプレーするフィールドに還元できること「こういう取り組みが多くのスキー場に広がる事を願っています。小さな所から大きな流れへ、自分の出来ることから少しずつ。」(一部抜粋)という声を受け取りました。
のべ1,196人、寄付総額807,700円の追い風を感謝します。
ドネーションによる取り組みの成果や進捗を報告するプレスリリースを配信しました。

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【25-26 POWチケット導入スキー場発表】SRA加盟スキー場は45、POWチケット導入は11スキー場に

POWチケット導入スキー場

北海道の名寄ピヤシリスキー場、岩手の網張温泉スキー場、群馬のかたしな高原、長野の戸隠スキー場の4スキー場にて、新たにPOWチケットの導入が決まりました!昨シーズンより継続してくださる7スキー場と合わせて、全国11のスキー場でPOWチケットをお選びいただけます。そろそろシーズン券の販売が開始しているスキー場もたくさん。ホームゲレンデにPOWチケットが導入されている場合は、ぜひ選択肢に入れてみてくださいね。

ドネーションの使用目的やその用途を公開するプレスリリースを配信しました。

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再エネへの切り替えのはじめの一歩を支援する、再エネオンラインセミナーを開催

スキー場における再エネ導入を後押しするために、SRA加盟スキー場向けにオンラインセミナーを実施しました。前半は、講師に中小企業を中心に再エネ導入と脱炭素をサポートする「再エネ100宣言RE Action」の金子さんを迎え、導入事例を交えながら、導入難易度や経済性の観点を含めつつ、再エネ調達方法についてご講演いただきました。

後半は実際に再エネ電力を調達している、かたしな高原の澤さん、戸隠スキー場の戸谷さんに自らご登壇いただき、再エネを導入した想いから、導入に至るプロセス、コストなど、スキー場のリアルな話を伺いました。再エネは電気代が高くなるのでは?とみなさん懸念されると思いますが、消費電力の小さいリフトから部分的に切り替えたり、10社以上から見積もりを取ることで、納得したコストで切り替えができたそうです。また新聞などメディアに取り上げられるPR効果や、記事をみて「応援するよ!」と直接メッセージが届くなど、ファンからの支持も実感されていました。

再エネ導入に関心のあるスキー場、企業の方は是非レポートで詳細をご覧ください。そして是非見積もりを取ってみて下さい。

今回のセミナーでは、「お客さんと一緒にスキーを楽しめる環境を作っていこう」というスキー場の想いが、ゲストにも伝わってきていることも感じました。登壇いただいた2つのスキー場を含め、11のスキー場が25-26シーズンにPOWチケットを導入します。 POWチケットを買う、SRA加盟スキー場へ滑りにいくことでスキー場を応援していきましょう!

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スマイルリゾートにてサステナビリティに関する社内講習

スマイルリゾートの5スキー場が集まる会で、POW JAPANとしてお話しする機会をいただきました。
SRA加盟スキー場にお渡ししているサステナブル・リゾート・ハンドブックで紹介している12のアクションに沿って、スキー場のグリーン化に取り組む意義やメリットを事例と共に紹介。12のアクションリストについて、自社や職場で実施できている項目をチェックしてもらうと、話を聞いた後にはチェック数が増えていました。サステナビリティの視点で見ると、すでに取り組めていることにも気づいてもらえたと思います。今後、新たな取り組みが増えたり、さらに大きな効果が出る行動に繋げてもらえることを楽しみにしています。

キューピッドバレイ 雪国の知恵「雪室」を活用

SRAに加盟するキューピッドバレイにて開催された「真夏の雪まつり」に現れた雪山。アンバサダーでもあり雪板の第一人者でもある五明淳たちが雪板とスノスケのコースを造設し、真夏のスキー場で子どももおとなも楽しそうに滑っているのがとても印象的でした。みんな、やっぱり雪で遊ぶ、滑るのが大好きなんですね。

この雪、実は天然の冷蔵庫とも言われる「雪室(ゆきむろ)」で冬の間に貯められた雪。

キューピッドバレイの雪室の貯雪量は最大で約1,500t。この雪を活用した「雪冷房システム」(冷水循環方式)で、夏のセンターハウスの冷房が賄われています。雪が溶けた水が熱交換器を通って、冷たい風が室内に流れ込むため、通常の冷房よりも優しい涼しさに感じます(通常の冷房よりも湿度が高いとのこと)。この雪エネルギーを生かすことで、年間4万5000kg(約7500世帯分)のCO2排出削減になるそうです。

雪国上越では古くから、冬の間に積もった雪で山を作り、藁などを使って雪を囲って夏まで貯蔵し「ものを冷やすためのエネルギー」として活用されてきました。それが雪冷房システムの原点。地域に根付く知恵と自然の恩恵が、省エネやCO2排出の削減、電気代の削減、さらには、夏のゲレンデでのみんなの笑顔に繋がっています。

キューピッドバレイでは昨シーズンから「POWチケット」を導入。POWチケットの寄付を雪室の仕組みを伝えるリーフレット「雪室といきる」の制作や配布に活用されました。

「雪室」という伝統手法を受け継ぎ、大切な資源として活用することで環境への負荷を軽減する。遊びやリーフットを活用して、この文化と知恵を伝える、素晴らしい取り組みです!

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政策への働きかけ

参院選関連アクション動画公開

参院選目前の5月。POWアンバサダーの佐藤亜耶さん、大池拓磨さん、中島力さん、橋本通代さんが、それぞれの地元立候補予定者のもとを訪れました。

その目的は、フィールドや暮らしの中で気候変動の影響を直接感じる私たちの「声」を届けるため。政治家の皆さんは、地域を代表して国会に繰り出します。市民が何を求めているのか。どんな問題意識を持っているのか。現場からのリアルな声を待っていますし、その働きかけが私たちの未来につながる「政策」に寄与します。

私たちが感じていること、それを声にすることは私たちが想像するよりもずっと大きなパワーとなります。

雪の上で輝くアンバサダーたちはフィールドが雪山から政治の場に変わっても飾らずに、クールに、彼らの声を届けてくれました。その様子をぜひ、動画にてご覧ください。

ご協力いただいた参院選立候補予定者の皆様(撮影時点)
佐口佳恵さん(滋賀県/立憲民主党)
嘉田由紀子さん(滋賀県/日本維新の会)
藤田ひかるさん(長野県/自由民主党)
羽田次郎さん(長野県/立憲民主党)
打越さく良さん(新潟県/立憲民主党)

*本アクションについて、特定の候補者や政党を支持する意図はありません。現場からの声を受け取り、公約や政策に積極的な気候変動対策が組み込まれることを望んでいます。

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参院選関連アクションについての説明会

アウトドアコミュニティから声を届けるをテーマに、より選挙を身近に感じていただくために、候補予定の方々に市民が声を届けられる事例を紹介。気候変動を身近に感じているアウトドアコミュニティのリアルなお話を通じて、選挙においても気候変動への対策を考えていただくための説明会を実施させていただきました。約50名の方が参加していただきました。気候変動が暮らしとも密接につながっていることを政治で取り上げてもらえるようにアウトドアコミュニティから声を上げ続けていきます。

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くらしと政治のトークセッション

POWは主催、政治家に声をとどける有志の会の1団体として参加。衆参合計で10議席以上を有する7政党の議員が登壇。どの議員も気候変動対策の重要性について言及していました。「党内で気候変動対策のためにエキスパートを呼んで行う勉強会を、年に何回ほど行っていますか?」「若者を含めた有権者の声をどのように聞き、党内政策に取り入れるのか?」という市民からの質問に対し、立憲民主党の小川議員からは、環境部会にPOWを呼び勉強会を開催し、要望についても反映するよう一緒に動いている旨の発言がありました。

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スポーツ基本法 「気候の変動」初めて明記

SDGs in Sportsとともにスポーツ基本法に働きかけを行っていました。具体的には、スポーツ施設、スポーツ団体が脱炭素化の取り組みを行う必要があることを法律に明記して欲しいという内容。残念ながらその内容は法律には反映されませんでしたが、自民党の議員さんからスポーツ庁に基本計画には反映するよう口添えしてもらうなど一定の成果はありました。改正に合わせて、スポーツ選手、団体とともに、「気候の変動」が初めて明記されたことへの歓迎と、彼らの危機感・要望・取り組みを発信するためのリリースを配信しました。

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観光庁へ、要望書を提出

長野県選出の杉尾ひでや参議院議員のお取り計らいにより、観光庁観光地域振興課を訪問し、「国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業」に気候変動対策を組み込むよう要望しました。

内容は、①脱炭素施策を明確に位置づけること、②事業要件にサステナビリティの観点を追加することです。海外ではサステナビリティのへの取り組みが進む一方、日本では「取り組みたいが着手できない」というスキー場も多く、支援を通じて確実に前進させることが重要です。さらに、省エネや再エネへの投資、食やエネルギーの地産地消を進めることで地域内でお金が循環し、地域の持続性の向上にもつながります。

本事業の委員にはPOW JAPANアンバサダーの小野塚彩那さんも参画しており、今後も連携して政策面からのアプローチを進めていきます。

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「暑すぎる夏を終わらせる日」記者会見

この夏も続く異常な暑さ。暮らしへの影響は深刻化していますが、猛暑を「気候変動」と結びつける報道や議論はまだ限られています。そこでJCLPは、8月8日を「暑すぎる夏を終わらせる記念日」と制定し、暑さを気候変動の問題として捉え直す社会的なきっかけを作ることにしました。POW JAPANもこの主旨に賛同し、大企業や気象予報士、ご当地キャラクター協会の皆さんと共に社会として早急な対策を訴える記者会見に参加し、スキー場や雪の現状を伝えてきました。この会見を通して、アウトドアからの発信が気候変動テーマでもつ重みを実感するとともに、気候変動を自分ごととしコミュニティとしてアクションしているPOWは、社会の関心を喚起し、変化を促していく上でも大きな役割があることをあらためて確信してきました。

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