「再エネへの切り替え」が「考え、話しあい、決めていく」のきっかけになることを願って

Goro Komatsu

「Change is POWer」キャンペーンに参加してくださったり、関心を寄せてくださりありがとうございます。

POWがなぜ電力会社みたいに電気の切り替えを宣伝しているか、それは私たちが日常的に使用する電気を発電する際に排出されるCO2が気候変動と大きく関わっているから(詳細はWEBページをご覧いただけたら嬉しいです)。私たち一人ひとりが再エネに切り替えることで、CO2の削減に大きなインパクトを与え、それが日本の電力事情に変化をもたらすチャンスになるかもしれません。

インパクトがあって、とても簡単にできるアクションだからこそ、皆さんにやってみてほしい、そういう願いを込めて、パートナー企業のサポートを受けて、今回のキャンペーンをしています。

しかし、再生可能エネルギーにも課題はあります。

実際に、このキャンペーンに多くの方が賛同してくださった一方で、否定的な意見もいただいています。

再エネへの切り替えを勧めている私たち POW も、再エネに関連する課題を認めています。山を切り開いて作られるメガソーラー、山や丘、海岸などに並ぶ巨大風車の影には、人々の生活や想いがあり、自然環境があります。大きく見れば「良いもの」と考えられるものでも、その細部を見るとそれが「脅威」となっている側面にも目を向けなければなりません。自然の風景やライフスタイルを愛し生きる者として、その想いは十分に理解できるものです。

とはいえ、現代のライフスタイルに電気は必要、というのもまた事実です。

電気無しで生きることが「絶対に無理」とは言いませんが、社会全体が目指す姿にはなり得ないでしょう。しかし、減らせる部分は確実にあります(日本では特に)。電気に限らず、様々な無駄をなくしていくための努力は、間違いなく必要です。

それでも、ある程度のエネルギーはなんらかの形で用意しなければならない。

じゃあ原子力発電所を新たに作ろう、となったらおそらく多くの人は反対します。原発事故の悲しさは、もはやほとんどの人が知っているはず。それでも新設するとなれば「電気を作るため」以外の理由が何かあるのかと疑ってしまうほどです。

では、石炭・天然ガスによる火力発電所はどうでしょうか?原子力のような恐ろしさとは異なるものの、それらが大気や気候に他の何よりも影響を与えているとしたら、廃止に向けて動き出すべきです。

生態系を壊し、川の姿を大きく変える「ダム」にも課題が多く、ダムをこれ以上増やしていくことは賢い選択肢とはいえません。

エネルギー問題は、本当に難しい問題です。出来ることなら考えないでいたい、というのが本音かもしれません。

しかし、毎日使う、文字通り私たちの生活を「支えている」ものだからこそ、本来はしっかり考えるべきなのです。福島第一原発事故、気候危機が原因とされる気象災害や雪の降りかたの変化、何十年も続くダム問題、そして、再生可能エネルギーについても。。

今回のキャンペーンを通して提案している再生可能エネルギーも、細部に目をやると現段階では完璧な答えではありません。気候危機の時代に対応する技術として世界各地で広まっていますが、なかには自然のことなど全く考えていない人や会社によって扱われているケースも実際にはあります。だからこそ、目を向けてほしい。しっかりと考えてほしい。

自然環境や周辺住民の暮らしと調和できているのか?、

この場所でいい?より良い形は?

自分や地域で自給できないだろうか?

再エネは脱炭素社会を目指すうえでは欠かせない存在で、大きな可能性を持っています。

その可能性を活かしたい。

再生可能エネルギーを選ぶ人が増えれば、そこに目を向ける人も増え、より良い形を実現する力が高まっていきます。

このキャンペーンをきっかけに切り替えてくれた皆さん、考えてくれた皆さん、やっぱり反対の皆さん、ぜひ一歩進んで、自分が使っているもの、選ぶものの背景や、そこで起きていることを知ってみてください。

そして、みんなで考える、話し合い、決められるようになる。今回のキャンペーンがそんなきっかけであることを願っています。

  

私たち一人一人の変化は「小さな力」でしかありませんが、同じように、「大きな力」に見えるものもその小さな力に支えられていることを、忘れないでください。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

POW Japan 代表 小松吾郎

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