POW NZ に潜入!

ニュージーランドに滞在中のPOW JAPANアンバサダー中島力。
彼がPOW NZのセッションに参加したレポートが届きました!
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photo:Takahiro Nakanishi

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僕も日本での立ち上げの時から関わらさせていただき
仲間として一緒に活動させていただいている
今年の2月に発足したばかりの
スキーヤー、スノーボーダーたちによる環境団体
POW Japan(Protect Our Winters Japan)
その1年先輩にあたる
POW NZ(Protect Our Winters New Zealand)の
カードローナスキー場のスタッフ向けに行われたセッションに
友人からお声がけをいただき僕も参加して来た。

そもそもこれは2007年にアメリカのスノーボーダー
ジェレミー・ジョーンズによって立ち上げられ
多くの滑りてたちだけでなく、業界、行政を巻き込みながら
全世界に広がっている活動なんですが
自分たちの自然豊かで気候の変動に大きく左右される
愛すべきフィールドを自分たちから行動を起こして守って行く。
そんな活動です。

で、日本での活動もほんと多岐にわたって
日々、目に見えるものから見えないものまで
たくさんホント地道に行なっているんですが
ニュージーランドではどんな風に活動しているのか。
すんごく興味があった。

そして会場到着。
今回はPOW NZのパートナー(寄付支援企業)でもある
Cardrona Alpine Resortのオフィスで、そのスタッフに向けて行われた。

POW NZの立ち上げ、そして活動をしているメズ(女性)
カードローナの環境担当
あとはホント色々な部署のパートタイムも含めたスタッフ。
全部で10名程度。

メズが全体のイニシアチブを取りながら
ラフな雰囲気の中PCのスライドを見ながらみんなで話をしていく。

POWって知ってる?
というところから始まり
各地でみんながそれぞれ実態に体感している気候変動について
気候変動って聞いて
どんなポジティブなことネガティブなことが思い浮かぶかな?

ネガティブなのは
「スキーができなくなる。こんなに素晴らしい僕らの仕事がなくなる。」
とか、他どんなのがあったかぁ。まぁ、そんな。

ボジティブなのは
「今、まさにそのネガティブな危機的な状況にあって
人々がなんとかしなきゃって動き始めた。
そしてそれはすごく速いスピードで変わって来てる。
スーパーとかのプラスチックバッグだって
みんな意思で使用禁止になったのもすごくいい流れの一つだ。
これからそんなことがどんどん変わっていく。
すれってすごくワクワクする!」
とかです。
※NZでは今年の7月からプラスチックバックが政府により禁止されました。

NZは南半球で、非常に自然豊かで雪もたくさん。
同じ南半球のオーストラリアからもスキーに訪れる人も
さらに北半球からも多くの人が訪れます。
それはNZにとってはとっても大きな資源であり産業です。

これは近年”Japow”を求めて訪日外国人が激増している
日本でも同じですね。

夏のトレッキングだって氷河が人気。
その氷河もこの数年で大きく後退し
見にいくことが困難になりつつある場所もあり
冬だけでなくNZの人気の夏のトレッキングにも大きく影を落とします。

という、どれだけの人がこの国に雪や氷河にを求めて
どれだけ大きなお金がそれによって生まれているのか
それは国の収益のどれくらい大きな割合を占めているのか
というお話。

そんな中でそれを脅かす温室効果ガスは
NZでは主にどこから排出されているのでしょうか?
という円グラフを見ながら

我々の国で一番の排出源となっている
エネルギー(発電)部門では
NZでは非常に環境意識の高い国で
エネルギー自体がほとんど水力を主として
地熱や風力など自然エネルギーを使って発電されていて
それほど多くの割合を占めていない!
羨ましい!!

※全国地球温暖化防止活動推進センターより
(https://www.jccca.org/chart/chart04_04.html)

※アメリカや日本でもエネルギーの供給源の多くに
石油や石炭などの化石燃料が使用され
非常に多くの二酸化炭素を排出しています。
アメリカはそれでも2030年までには石炭火力は廃止にすると宣言
それが世界的に当然のトレンドです。
なのに!
日本はまだこれから新たに石炭火力発電所を
新規で建設しようとしてる。。。
恥ずかしい。。。

それでも、参加していた彼らは意見として
「水力だからって”いんだ♪”ってガンガン気にせず
電気を使っていいってわけではない。必要なぶんだけ使うことで
その必要な発電自体を減らせていければいいよね!」

「水力だって川の自然形態を壊しちゃうし
環境にいいってわけじゃないもんね。」
と、参加者から自然に、そして当たり前のように
会話がなされます。

で、NZでの1番の排出源は農業部門。

※Ministry for the Environmentより (ニュージーランド環境省)
https://www.mfe.govt.nz/publications/rma/gazetting-new-zealands-2050-emissions-target-ministers-position-paper/gazetting-new

確かに、野菜や穀物もだけど牛さんや羊さんの宝庫ですもんね。
でも僕の調べたところによると食料自給率は300%だそうです。
それならある程度納得。
自国で作ったものだけである程度生活できちゃうって素晴らしい!
もちろんスーパーに行けば輸入品も見かけますがそれでも300%はすごい!
この数字は輸出しているものが多いってことですが
それはつまり他の国で負うべき二酸化炭素排出も担ってくれているということ。

で、2番目が輸送部門。
これには荷物も輸送もそうですが人の輸送も含まれます。
つまりバスや車もってことですね。

で、POW NZでは特にここにフォーカスし
ここの二酸化炭素の排出量を減らせるように活動をしていく!
ということでした。

ここで、なんでの1番の農業の方には力を注がないの?
という参加者からの質問。
それには
「もちろん、そこにだって力を注ぐべきだし
注がないわけじゃない。
でも、僕たちはスキーヤーでスノーボーダー。
僕たちが、最も力を発揮できる場所でそれを改善していくんだ。
僕たちの業界の中で何から変えていけるのか。そこに力を注ぎたい。
農業にもきっと同じことを考える仲間がいて
彼らがその彼らの得意とするところで物事を動かしていく。
僕らはそろぞれが活動する場所に責任をもって
それぞれに良い方向に向けて動いていくべきだと思う。」
と、明快な回答。完全同意。

NZでは特に車がないとなかなかスキー場までの道のりがハードです。
日本みたいに宿泊のある街の目の前からリフトが出てるってことは
ほとんどないのです。

そこで、シャトルバスの充実をスキー場に提言したり
カーシェアリングを勧めたりなどなど
これからさらにこの分野での活動を推し進めていくようです。

うーん。面白い!
日本ももちろんそこもやっていくんだけど
日本での二酸化炭素排出の割合のトップはエネルギー部門。
日本のPOWではここがプライオリティーが高いです。
特に世界的に見ても大きく遅れをとっているところです。
と、国によっても課題・問題が違っていて面白い!!

そして、今度は
じゃぁ、今自分たちが実際に日々のスキー場の業務の中で
どんなことができるかしら?

「私はレジを打った時にレシートが必要かどうか聞くようにしているわ。
必要ない人も多いし、そういうときは印字しなくってすむもの!」
※NZのレジでは多くの場合、日本みたいに
問答無用で自動的にピロピロ出てきたりしません。

「スキー場のリフトの運転や圧雪車で
いったいどれくらいのエネルギーが消費されているのか
公開したらどうだろう?
きっとすごい量の消費量だと思うんだけど
そしたらスキー場で働くスタッフも
みんな無駄をなくそうって思うだろうし
それにお客さんにも実はそれだけ環境に負荷をかけて
僕らは遊ばせてもらってるんだってわかってもらえるし
だからって僕も含めてスキーは大好きだしやめられないけれど
これだけ楽しませてもらっているからどこか他の場所で
普段の生活の中のでその分を帳消しにできるように
気をつけたり、ライフスタイルを見直したりする
そんなきっかけになるんじゃないかな!」
などなど。
アイデアは飛び交い、盛り上がりを見せます。

これだけのアイデアを一つ一つ実現していくだけで
きっと僕らは楽しみながらどんどん前に進み
どんどんいい方向に歩みを進めていける。
なんてワクワクするんだろ。

そのあと
今日こうやってみんなはPOWのセッションに参加したわけだけど
明日もし今日参加してなかったスタッフや
同じリフトに乗ったお客さんに
「POWってどうだった?何してる団体なの?」って聞かれたら
なんて答えるかな?
という質問に
「気候変動に取り組み活動する団体よ」
「より良い世界を作るための活動をしてるよ!」
などなど。

そして最後は行政に対して
気象変動に対してもっと迅速且つ効果的な政策を期待します!
という内容の手紙を送る手配をし

私たちが遊ばせてもらってる愛すべきこのフィールドに対する思いを
みんなで一つの目的のために傾けよう!
そして、あそこはここがダメ、あれができてない!と
何かを批判するんじゃなくって
ここはこんなことしてる!こんなこと出来てる!スゴくいいよね!と
お互いのいいところに目を向けて、この取り組みを前に進めましょう!

と、この会は締めくくられました。

うーん。
スゴくいい雰囲気で
みんな前のめりで
それぞれの思いをしっかり発言できて
共有しあって、一緒に前に進んでいくこの感じ。

日本では立ち上がったばかり。
この活動を、同じような雰囲気を
コツコツと足元から進めていくこと。

我々、民間での活動としては、特にこと環境という問題に関しては
短期間で成果が得られることは稀かもしれない。
でも、同じスキー、スノーボードという共通言語の元に
情熱を注げる仲間からまずは手を取り合い
一緒に前を向いてより良いスノー業界を
ひいてはウィンタースポーツ業界を
さらにはアウトドア業界、スポーツ業界と
大きなうねりとなって。
より良い環境へ、社会へ、地球へと未来を描けるように。

そして民間からのボトムアップでは
短期間での成果は出にくいものでも
国の政策という号令なら、すぐに社会は変えられる。
今、世界中でその動きがあるように、日本も後に続きたい。

できるなら、
八百万の神を自然の中に見出し
美しい自然と共存してきたかつての日本の姿のように
そんな世界のリーダーシップを取れるような国であってもらいたい。

そして、僕らにはそうしたボトムアップだけではなく
そんな国の方向を変える力だってあるはずです。
そう。
まず参院戦
投票は僕らの持っている大きな権利であり、チャンスです。
それはこれからの未来を思い描く僕らからの国へのメッセージです。

21日は投票へ。

そして、POWに興味を持ってくださった方がいらっしゃいましたら
ぜひ、POW Japanにご寄付、ご協力をお願い致します。
コチラ→Protect Our Winters Japan